October 26, 2019 / 11:11 PM / 23 days ago

アングル:成人おむつ市場が世界で拡大、羞恥心払しょくで成長余地

[シカゴ/東京 22日 ロイター] - 世界的に高齢化が進むなか、おむつを必要とする大人が新生児よりも多くなる日はそう遠くない。おむつを含む失禁対策グッズを売るメーカーにとっては非常に大きなビジネスチャンスだ。

 10月22日、世界的に高齢化が進むなか、おむつを必要とする大人が新生児よりも多くなる日はそう遠くない。写真は尿漏れパッドが並ぶシカゴのグローサリーストア。10月11日撮影(2019年 ロイター/Richa Naidu)

おむつを含む失禁対策グッズを売るメーカーにとっては非常に大きなビジネスチャンスだ。ただし、長年にわたって売上拡大を阻んできた顧客の羞恥心を払拭できれば、の話である。

成人用おむつや使い捨て下着、吸収パッドの市場は急速に成長している。ユーロモニターによれば昨年は前年比9%増の90億ドル(約9800億円)に達し、過去10年間で2倍に拡大した。

だが、エシティやキンバリークラークなど市場を先導するメーカー各社は、尿漏れの可能性のある成人4億人以上のうち、適切な商品を購入しているのは半数にとどまるとみている。購入を恥ずかしく思っているせいだ。

各社は、おむつやナプキンといった表現を避ける、ベビー用品のコーナーではなく制汗・制臭商品や生理用ナプキンなどに隣接したパーソナルケア用品の棚に商品を置くーーなど、さまざまな試みをしている。

また、広告を通じて、このテーマを気軽な話題にしようと努めている。

日本では、急速な高齢化に伴い、成人向け失禁対策商品の売上高が2013年前後に乳幼児用おむつの売上高を上回った。同市場で首位を走るユニチャームでは、この問題を気軽に考えられるよう、広告で「ちょいモレ」(少量の漏れの意味)というフレーズを採用した。

ユニチャームで広報を担当する渡邊仁志氏は、「我々は、若い人たちの失禁でさえ珍しいことではないと人々に知ってもらおうと努めている」と話す。

ユニチャームでは、特に軽い尿漏れの問題を抱えている人々に注目している。より活動的な生活を送れるようになり、最大の成長が見込めるからだ。こうした市場をターゲットにした同社の尿漏れを吸収するパッドや裏地の売上高は昨年8%増大した。

米国市場で首位に立つキンバリークラークは今年、35年の歴史を持つ「ディペンド」ブランドを刷新し、より薄くソフトでフィット感の良い、しかも目立たずに着用できる商品を導入した。受け入れられやすくするためだ。

この10年、顧客獲得のために様々な取り組みが試されてきた。

最初は「おむつ」という分類をやめることから始まった。高齢の顧客が「おむつ」という言葉に感じる「自分の暮らしを制御できない」という連想を解消するためだ。

それでもなおメーカー各社は、顧客に納得してもらうのに苦労している。

キンバリークラークで成人・女性向けケア商品部門を率いるフィオナ・トムリン氏は、「人は自分が失禁することがあるという事実を、愛する人、夫や兄弟姉妹に対して秘密にしている。それは多くの消費者にとって重大な秘密だが、その一方で、人生では起こりがちなことで、生理学的にみた現実だ」と語る。

メーカー各社は特に女性顧客の獲得に熱心だ。女性の場合、出産の影響もあり、男性より2倍以上も尿漏れの問題を抱える可能性が高いからである。

キンバリークラークでは、ここ数年、女優のウーピー・ゴールドバーグやカースティ・アレイを起用した明るい調子の広告キャンペーンを通じて女性消費者に直接働きかけている。

<もう秘密にしない>

キンバリークラークの「ポイズ」ブランドは、メイン州のエミリー・フォスターさん(31)のような、まだ若い女性を対象としている。フォスターさんは1年半前に最初の子どもを産んで以来、尿漏れに悩まされていたが、効果のありそうな商品を購入するのは恥ずかしかった。

「最初は買ってみたが、自分で使うために成人用おむつを選ぶのは非常に妙な気分だった」とフォスターさんは言う。「自分が高齢女性の仲間入りしたような気がする」

グローバル市場で首位に立つスウェーデンのエシティも、「ティーナ」ブランドや、「シルエット・ノワール」と名付けた、黒い薄手の使い捨て下着の新シリーズによって、若い層にアピールしようとしている。

広告のキャッチフレーズは「もう秘密にしない。女性の3人に1人は失禁に悩んでいる」

エシティが後援する「失禁症状に関するグローバルフォーラム」によれば、女性の12%、男性の5%は、何らかの形での尿失禁を経験している。軽微で一時的なものから深刻で慢性的なものまで、状況はさまざまだ。

エシティは、加齢との連想を避けるように、商品のパッケージや販売方法を工夫していきたいと述べている。

「女性向けにはなるべく女性らしく、しかも目立たないように、男性向けにはなるべく男らしく、しかも目立たないように、そういう商品のデザインやパッケージが効果的だ」と語るのは、エシティの健康・医療ソリューション事業部のウルリカ・コルスラッド社長。

潜在的な顧客にメッセージを届けることがなかなか容易でない場合もある。2017年にエシティをスピンオフしたSCAは、数年前、55歳以上のスウェーデン人男性を対象として自社商品のサンプルを送付したが、膨大な苦情を浴びるだけに終わった。

だが、そうした努力は実を結びつつある。調査会社カンターによれば、ターゲットにしたフランス及び英国の成人女性のうち、成人向けの失禁対策商品の使用率は、5年前には約13%だったが、現在では20%に迫っている。

もちろん、さらに売上高を成長させる余地は非常に大きい。コルスラッド社長は言う。「失禁に悩む人を集めた国があるとすれば、人口にして世界第3位の大国になる計算だ」

(翻訳:エァクレーレン)

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