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コラム

コラム:中国の滴滴、評価額11兆円は「高望み」か

[香港 16日 ロイター BREAKINGVIEWS] - 中国の配車サービス大手、滴滴出行(ディディチューシン)が一段と飛躍するには、エンジンの出力がいささか足りないようだ。同社は、ニューヨーク市場で7年前のアリババ以来の大規模な新規株式公開(IPO)を実施するための準備を急いでいる。ロイターが関係者の話として伝えたところでは、程維最高経営責任者(CEO)は評価額を1000億ドル(約11兆円)に乗せて100億ドルを調達したい考え。だが600億ドル前後だった2018年の評価額をここまで高めるのは、手の届く範囲を超えているように見える。

6月16日、中国の配車サービス大手、滴滴出行(ディディチューシン)が一段と飛躍するには、エンジンの出力がいささか足りないようだ。北京の滴滴出行本社で2020年11月撮影(2021年 ロイター/Florence Lo)

ディディがどうやって評価額1000億ドルにたどり着けるかを考える上では、東南アジアの配車大手グラブが手掛かりになる。グラブは4月、特別買収目的会社(SPAC)との合併を通じて上場する計画を発表。「SPAC上場」としては過去最大規模で、グラブは300億ドルの企業価値があると算定されている。グラブが見積もっている調整後純売上高(総取扱高から運転手や出店者に支払った基本インセンティブを差し引いた金額とおおむね定義される)に基づく株価売上高倍率(PSR)は13倍だ。

グラブの調整後純売上高にほぼ匹敵するのがディディのいわゆるプラットフォーム売上高で、今年分を42%増やして77億ドルにすれば、PSRが同じ13倍なら評価額は1000億ドルに達する。これは一見すると何とかなりそうだ。なぜなら2020年には序盤の中国国内の厳しいロックダウンの影響を含めた後でも、後半の力強い回復が寄与した形でディディの通年のプラットフォーム売上高は40%余り増加したからだ。今年1-3月期の同売上高に至っては、前年同期が低迷した反動から2倍強も増えて17億ドルに上った。

ただし今年そうした成長を実現できたとしても、ディディとグラブは事業構成が非常に異なる点に注意が必要だ。グラブは「スーパーアプリ」の異名を誇り、幅広いサービスを展開している。一方でディディは中国国内の交通アプリという側面がなお圧倒的に強い。程維氏には日本からブラジルまで海外進出の野心があり、電子商取引や料理宅配といった新規分野にも乗り出そうとしているが、現時点でディディは売上高の90%以上を中国国内の配車サービスに頼っている。

その意味でディディの比較対象としては、米配車サービス大手ウーバーの方が適切だ。16年に中国から撤退したのと引き換えにディディの株式12.8%を保有するウーバーは、やはり収入の大半を配車と宅配が占めている。PSRは今年の予想売上高の約6倍でグラブの半分弱。ディディも同様だと考えるなら、1000億ドルの評価を得るにはプラットフォーム売上高を3倍、18年の評価額に並ぶためでもおよそ2倍にしなければならない。中国政府がハイテク企業への締め付けに動いている情勢を踏まえるなら、ディディの成長加速に賭けるのは賢明とは思われない。

●背景となるニュース

*滴滴出行(ディディチューシン)は10日、ニューヨーク市場での新規株式公開(IPO)を申請した。

*ロイターが関係者の話として伝えたところでは、申請者である親会社の小桔快智は、1000億ドル近くの評価額を目指しており、最大で約100億ドルを調達する可能性がある。

(筆者は「Reuters Breakingviews」のコラムニストです。本コラムは筆者の個人的見解に基づいて書かれています)

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