January 25, 2019 / 3:30 AM / a month ago

焦点:ドル調達の「上乗せ金利」ほぼ消失、米国債からリスク投資へ

[東京 25日 ロイター] - 日本の投資家が為替ヘッジ付きで外債投資をする際、長年頭痛の種となっていたドル調達の「上乗せ金利」がほぼ消滅した。米連邦準備理事会(FRB)の段階的利上げを背景に出現した「逆イールド」環境で、為替ヘッジコストが米長期国債利回りより高くなり、米国債投資が冷え込んでいるためだ。

 1月25日、日本の投資家が為替ヘッジ付きで外債投資をする際、長年頭痛の種となっていたドル調達の「上乗せ金利」がほぼ消滅した。写真は都内で2010年9月撮影(2019年 ロイター/Yuriko Nakao)

一部の投資家は為替ヘッジなしの「オープン外債」投資や、クレジット投資へと重心を移しているとみられる。

<隔世の感>

為替スワップ取引では、リーマンショック以降、「ベーシス」と呼ばれるドル調達にまつわる上乗せ金利が常態化し、日本勢のドル調達コストを押し上げてきた。

ベーシスの根本要因は需給バランスの偏りにある。

2013年4月から続く非伝統的金融緩和の下、日本勢がハント・フォー・イールド(利回り狙い)で外債投資を活発化させるなか、欧米金融機関によるドル資金の供給が、日本勢の強いドル需要に追いつかず、ベーシスが常態化していた。

ドル/円スワップでは、3カ月物のドルを調達する際のベーシスが、2016年半ばと2017年末に100ベーシスポイント(bp)に迫る勢いをみせた。

しかし、昨年11月半ばからベーシスはほぼ一貫して下がり続け、今年に入ってゼロを割り込むケースも観察された。今月の平均値は4.58bpと、昨年同時期の26.43bp、一昨年の64.37bpに比べても、隔世の感がある。

<海外勢による日本国債の買い越しが過去最高>

なぜベーシスは縮小したのか。一時的要因とより長期的な要因がありそうだ。

12月中のベーシス低下の一因としては、海外勢による日本国債(JGB)投資の拡大とそれに伴う円資金需要の増加があったとみられる。

「海外勢のJGB(日本国債)投資は12月に急増したが、この投資は為替スワップでドルを供給し、円を受け取る海外勢が増えたことを示唆し、需給の偏りをならして、ベーシスの低下に寄与したと考えられる」と三菱UFJリサーチ&コンサルティングの主席研究員・廉了氏は言う。

日本証券業協会が21日に発表した12月公社債店頭売買高(国債)によると、外国人は全体で4兆4242億円を買い越した。買い越し額は2004年4月の統計調査開始以来、過去最高を記録した。

<逆イールドで米債投資意欲が減退>

今年に入り、海外勢によるJGB投資は不安定になったが、ベーシスはそれでも下がり続けた。そこにはより長期的な要因も影響している。

ベーシスがほぼ消失したとはいえ、米国による段階的利上げを受けて米短期金利が上昇した結果、ドル調達コストは決して安いものではなくなっている。

実際、ドル/円スワップの原資産となる3カ月物のドルLIBOR(ロンドン銀行間取引金利)は、昨年12月半ばに米10年国債利回りを上回り、11年ぶりに逆イールドが出現。今もその状態が続いている。

高止まりするLIBORを使用したドル調達コストは、ベーシス込みで足元2.85─2.90%と、低迷する米10年国債利回り(現在2.72%)より高いため、ヘッジ付で米国債投資をすれば直ちに損失を蒙ることになる。

「今年に入ってベーシスがゼロ%近傍で低迷しているのは、為替スワップを利用してヘッジ付きで米国債を買う投資家がいなくなったからだろう」とSMBC日興証券のチーフ為替・外債ストラテジスト、野地慎氏はみている。

逆イールドのため、これまでヘッジ付で米国債投資してきた投資家も、それらをロールオーバーせず、米国債ポートフォリオを縮小させる方向に動いている、と同氏は言う。

<オープン外債、またはクレジット投資へ>

為替リスクをヘッジして米国債を買う投資家がいなくなったとはいえ、財務省の対外証券投資・投資家部門別によると、12月に信託銀行(信託勘定)が7498億円、金融商品取引業者(証券会社)が8081億円の外貨建て証券を買い越している。

上記の投資家の大半は為替ヘッジを付けない「オープン外債」投資をしているか、よりリスクの高い投資商品に手を伸ばしている公算が大きいと、市場参加者はみている。

「年金を中心とする機関投資家は、レバレッジドローンを組み入れた高利回りのCLO(ローン担保証券)等、クレジット投資を拡大している可能性がある」と廉氏は見ている。

レバレッジド・ローンは負債比率の高い、信用力が相対的に低い企業に対する高金利融資。証券化され、投資ファンドやCLOへの組み入れで、2兆ドル規模まで残高を伸ばしている。

懸念されるのは、そうしたローンやCLOが、景気悪化時に回収も転売も不可能となり、企業や貸し手の対応に制約を与えることだ。

森佳子 編集:石田仁志

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