[ロンドン 25日 ロイター] - ヘッジファンドなどの投機筋が、過去最速のペースでドルの強気ポジションを拡大しつつある。米連邦準備理事会(FRB)が最近タカ派的なシグナルを発信していることを額面通りに受け止めているためだ。
ドルに対する強気の裏返しはユーロ先高期待の全面的な後退で、ユーロ買い持ちの減り方もこれまでで最も大きい。
こうした投機筋の動きを背景に、主要6通貨に対するドル指数は一時1年ぶりの高値に達した。今の問題は、ヘッジファンドなどがどの程度までのドル高を受け入れるつもりがあるのかになってきた。
米商品先物取引委員会(CFTC)の直近のデータによると、19日までの週に投機筋のドル買い持ちは104億ドルとなった。前週は71億ドルの売り持ちで、昨年6月以来の買い持ちに転じた形。1週間で175億ドルという強気方向への変化幅は、CFTCが先物ポジションのデータ集計を始めた1999年以降で最大を記録した。
この間ユーロの買い持ちは77億ドルも減少し、19日までの週で3万6118枚と1年ぶりの低水準になったほか、減少幅は過去最大だった。
ユーロ買い持ちが過去最大の15万1476枚に膨らんだのは4月とつい最近だったが、今月21日の欧州中央銀行(ECB)のドラギ総裁会見後にユーロが2年ぶりの下げに見舞われた点を踏まえると、買い持ちはさらに減ってもおかしくない。
投機筋のドル強気見通しが、主に純粋な金利と債券利回りの差に基づくものなら、ドルは一段と値上がりして、ユーロは1.15ドルを割り込む可能性がある。FRBとECBが今月発したメッセージはこの上ないほど好対照だからだ。
FRBは年内の想定利上げ回数を以前の3回から4回に引き上げた半面、ECBはマイナスの政策金利が相当先まで続く展開を示唆。場合によってはドラギ氏が就任以来一度も利上げせずに来年10月の任期を終える事態もあり得る。
ドルとユーロを比べて金利と債券利回りの差が相対的にドルに有利だという表現では、控えめ過ぎるとも言える。5年国債の米独利回り差は21日時点で309ベーシスポイント(bp)と、1989年1月以来の大きさになっているのだ。
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