[東京 5日 ロイター] - 来週の外為市場では、グローバルな長期金利の変動に合わせ、為替市場でも高ボラティリティが予想されるが、今週はほぼ「蚊帳の外」に置かれていたドル/円を投機筋が再び手掛ける可能性も指摘される。
予想レンジはドル/円が123.50―126.00円、ユーロ/ドルが1.1100―1.1500ドル。
<投機筋のドル/円回帰も>
来週の市場では、11日の米小売売上高が注目されているが、「米国で消費の回復が確認され、米長期金利が上昇する局面では、ドイツの長期金利も連動して上昇する公算が大きい」とマネックス証券、シニア・ストラテジストの山本雅文氏は言う。
米景気関連で好材料が出た場合は、投機筋はドル/円に向かいやすいだろう、と同氏は指摘する。
また、海外投資家による本邦資産取得に伴う円売りヘッジの圧力も見逃せない。
「円キャリーで日本株を買い、円売りヘッジする海外勢が増えてきているのではないか」とFXプライムbyGMO・常務取締役、上田眞理人氏は言う。
財務省のデータによると、非居住者による国内株式や投資ファンドの取得は、4月に2兆5536億円にのぼり、5月も概算で約1兆4000億円となっている。
<ユーロと長期金利の行方>
外為市場では、ボラティリティを高める独長期債利回りの行方に関心が集まっている。
独10年国債利回りDE10YT=TWEBは4日、0.998%まで上昇し、昨年9月25日以来約8カ月ぶりの高水準に突入した。同利回り急伸を受けて、ユーロは1.1380ドルと5月18日以来の高値を付けた。
独長期金利の急伸について、SMBC日興証券・金融経済調査部のシニア金利ストラテジスト、野地慎氏は、需給面では「ドイツを起点として、長期金利が下がり過ぎたことに対する反動と、オーバーシュートがある。債券はボラティリティが上がると買いづらい」と言う。
心理面では「ユーロ圏消費者物価指数(CPI)がトリガーとなり、欧州中央銀行(ECB)が今後も安定的に国債を買ってくれるのか、不安感が広がっている」(同)。
5月のユーロ圏CPI速報値は前年比0.3%上昇し、市場予想を上回った。
ECBがユーロ高と長期金利上昇を放置していることも、市場の不安心理を煽っている。
ドラギECB総裁は3日の理事会後の会見で、ボラティリティの増大に慣れるべきとし、市場の変動に応じて金融政策のスタンスを変更することはないとの考えを示した。
しかし「緩和の効果がこれから出るか出ないかという状況で、ユーロ高と金利上昇を放置すれば、インフレと輸出が抑制され、ユーロ圏は再びデフレ圧力にさらされることになる」と野地氏は指摘。ECBが早期の出口論に傾斜したり、緩和の効果を無に帰する可能性は低いと同氏は見ている。
ただ、物価情勢に敏感なECBのスタンスを確認するには、次回のユーロ圏CPIを待つしかないだろう、と同氏は言う。
テクニカル面では、一目均衡表の週足基準線となる1.1514ドルが強力なレジスタンスを形成しており、同水準を上抜けするか否かも焦点となる。
<米雇用統計>
ロイターが実施したエコノミスト調査では5月は非農業部門雇用者数が22万5000人増となると予想されている。
SMBC日興証券・金融経済調査部の米国担当シニアエコノミスト、丸山義正氏は、雇用関連データの動向を踏まえ、23万5000人増と、4月の22万3000人増から増勢が加速するとみている。
「5月に想定通り雇用者数の増加など労働情勢の改善が確認されれば、米国経済の拡大基調に揺らぎはない旨のFOMC参加者の判断が後押しされることになる」と丸山氏は述べ、「6月の利上げ開始には、米国経済全体のモメンタムが不十分であろうが、9月の利上げ開始の見通しの蓋然性を高めることになるだろう」との見方を示した。
<主要経済指標>
6月8日の週の主要な経済指標は、8日に本邦4月の国際収支と1―3月期の実質国内総生産改定値、11日に米小売売上高(5月)、米新規失業保険申請件数(前週分)、中国小売売上高および鉱工業生産(共に5月)、12日に米卸売物価指数(5月)となっている。
為替マーケットチーム