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アングル:円高加速は短期筋のドルロング圧縮、週末の反転予想も
January 4, 2016 / 10:27 AM / 2 years ago

アングル:円高加速は短期筋のドルロング圧縮、週末の反転予想も

[東京 4日 ロイター] - 中国経済の減速懸念に端を発したリスクオフの流れから、ドル/円JPY=EBSは下げ足を速め、一時119円を割り込んだ。短期筋によるドル/円のロングポジションの投げが顕在化し、一部では円ロングになっているもようだ。

 1月4日、中国経済の減速を懸念したリスクオフの流れからドルは一時119円を割り込んだ。短期筋がドルのロングポジションを解消し、一部で円ロングになっているもようだ。都内で2010年撮影(2016年 ロイター/Yuriko Nakao)

ただ、週末の米雇用統計後にドル買いムードが復活するとの見方も根強く、先行きの不透明感が一段と濃くなってきた。

<「官製相場」の反動>

新年「初日」のドル/円は、12月の中国製造業購買担当者景気指数(PMI)が市場予想を下回ったことで、金融市場のリスク回避ムードが台頭。2カ月半ぶりに119円を割り込んで1円超の急落となった。

三菱東京UFJ銀行のシニアマーケットエコノミスト、鈴木敏之氏は、金融市場の大きなうねりは複合的な要因が重なったためと見ている。中国経済指標の落ち込みによる株安に加え、米ISM製造業景況指数のさえない数字への懸念、サウジアラビアとイランの関係緊迫化といった報道などが、新年の資産配分変更のタイミングと重なり、取引の薄い中で増幅されたとの見方だ。

FXプライムbyGMOの常務取締役、上田眞理人氏は「年末にかけて官製相場の色合いが濃かった株高や円安の反動が生じ、短期筋は積み上がったドル/円のロングの投げが出た」と指摘している。ドル/円は120円半ばを割り込んだ12月24日以降、複数回にわたって120円ちょうど付近まで下押しながら、大台割れ寸前で跳ね返される展開が続いていた。

足元のリスク回避ムードはポジション調整の一環であり、リスク選好地合いに転換するとの声も、根強く市場では存在している。

ただ、中国経済の減速や原油安、中東情勢の緊迫化に代表される地政学的リスクと、リスク要因が目立つのも事実。「現状から切り返してリスクオンになるには、相当大きなエネルギーが必要だ」(上田氏)との指摘も出ている。

<ポジション面での円買いは限定的か>

米商品先物取引委員会(CFTC)がまとめたIMM通貨先物の非商業(投機)部門の取組(12月22日までの1週間)では、投機筋の通貨先物のポジションは3万0367枚の円売り越し。

年明けのドル売り/円買いで、円売り越しはさらに縮んでいるとみられ「実質的にほぼスクエアに近いのではないか」(国内金融機関)との見方が出ている。

このため短期的には、ドル/円の下押しがあっても、円ショート解消の範囲にとどまり、円ロングに転換せず、ドルの下げ幅は限られるとの見方が多い。

SMBC信託銀行プレスティアのシニアFXマーケットアナリスト、尾河眞樹氏は「日米金利差が広がっていく方向にある中で、為替差益だけで収益があげられるほどの円買いの理由は、足元では見当たらない」と指摘している。

昨年はIMMの傾きがゼロに接近した局面が3回あり、いずれも下値は118円付近だった。市場では「ポジション面での下値の目安になり得る」(別の国内金融機関)との見方が出ている。

野村証券・チーフ為替ストラテジスト、池田雄之輔氏は「一部の投機筋は、既に円ロングとなっており、日銀の追加緩和姿勢が示されない中で、ドル/円を下攻めする好機と見ているようだ」と指摘している。

「地政学リスクなど突発的なネガティブサプライズから、一時的に投機筋のポジションが円買い越しに傾く場面はあり得る」(SMBC信託銀の尾河氏)という。ただ、多くの市場関係者は、現時点でそうした傾向が定着するとはみていない。

また、ドルロング/円ショートのポジションが軽くなれば、先行き日米の金融政策の格差を踏まえて、円売りに傾きやすいとの見方も根強く支持されている。

<米利上げ、楽観論と悲観論の綱引き続く>

リスクセンチメントの動向に加えて、ドル/円相場でカギとなるのは、米利上げの先行きに対する見方だ。

利上げの継続性に関する楽観論と悲観論を、それぞれサポートするとみられる米経済指標の発表がこれから続き、市場の見方が収れんしない展開も予想される。

悲観論の根拠の1つとなりそうなのが、4日の12月米ISM製造業景況指数、6日の12月米ISM非製造業景況指数だ。製造業・非製造業の景況感を示す指標で、50が景況拡大と後退の分岐点となっている。

ロイターがまとめた12月ISM製造業景況指数の市場予測は49.0で、11月に続いて50を割り込む見通し。

予想通りになれば「追加利上げの環境と言えないのではないか、との見方も出てきそうだ」(邦銀)といい、ドル売り/円買いの地合いを強めるとみられる。

一方、楽観論の根拠の1つになりそうなのが、8日発表の米12月雇用統計。非農業部門雇用者の増加数は20万人と予想されており、「市場の予想通りや、より強い結果となれば、米金利上昇・ドル高が期待される」(国内金融機関)との声が多い。

野村証券の池田氏は「米雇用統計では顕著な賃金の伸びと、それに呼応した米金利の上昇が見込まれ、投機筋の円ロングは早々に巻き戻しを迫られることになるかもしれない」と予想している。

平田紀之 編集:田巻一彦

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