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訂正:今年最安値のドル/円、国内長期投資家の買いが下支えも
2017年9月8日 / 07:53 / 17日前

訂正:今年最安値のドル/円、国内長期投資家の買いが下支えも

 9月8日、ドル/円が年初来安値を割り込み、2016年11月以来となる107円台を付けた。地政学リスクと米長期金利の低下を背景とした短期筋によるドル売りの勢いが増している。写真は6月撮影(2017年 ロイター/Thomas White)

[東京 8日 ロイター] - ドル/円JPY=が年初来安値を割り込み、2016年11月以来となる107円台を付けた。地政学リスクと米長期金利の低下を背景とした短期筋によるドル売りの勢いが増している。

ただ、米長期金利上昇シナリオを捨てず、ドルの下値を丹念に拾う国内実需筋もいる。北朝鮮リスク次第では水準が大きく動く可能性もあるが、9月期末や17年度下期以降に本邦勢のドル需要が下支える展開もありそうだ。

<低下する米長期金利>

円高ではなくドル安というのが、市場のほぼ共通の認識だ。ドルインデックス.DXYは、今年1月3日の高値から91ポイント台へと12.3%低下し、2015年1月以来の水準まで落ち込んだ。ドル/円の下落率は年初比9.1%。ユーロ/円EURJPY=EBSでみれば、同5%強の円安水準にある。

ドル安の最大の要因とみられているのは、米長期金利の低下だ。米連邦準備理事会(FRB)は、今年3月と6月に2度、利上げを実施。9月に資産縮小も決定する可能性があるものの、米インフレ率がFRBの事前想定のように上がってこないこともあって、年初の2.4%から足元では2%割れ寸前まで低下している。

「FRBは、ハリケーンの影響などを見極める必要が出てきそうだ。9月に資産縮小を決定したとしても、債務上限問題が佳境に入る12月の利上げは厳しいだろう。場合によっては、利下げの議論も浮上してくるだろう」と三菱東京UFJ銀行のシニアマーケットエコノミスト、鈴木敏之氏はみている。

そのなかで米期待インフレ率が低下。米10年物価連動国債利回りUS10YTIP=RRは16年11月以来の低水準となる0.24%に落ち込んでいる。名目金利も下がっているが、米実質金利も低下。日本の期待インフレ率の伸びも弱いままだが、日米金利差が縮小するなかで、ドル安/円高の要因になっている。

<国内勢、北朝鮮リスク時にドル買い>

一方、週末の北朝鮮イベント(建国記念日)などを無事通過すればという条件付きだが、ドル下落の歯止めになるかもしれないとみられているのが、国内勢のドル需要だ。

北朝鮮が核実験を行った翌日の4日。ドル/円は前週末終盤の水準から1円近く円高の109円前半へ気配値を切り下げて取引が始まったが、午前中には早くも109円後半へ反発。午後に弾道ミサイル発射準備との報道が伝わるともう1度109円前半へ下落するが、4時間後には再びその下げ幅を埋める頑強さを見せた。

複数の市場筋によると、下値を買い支えたのは日本勢。輸入企業などの実需に加え、政府系金融機関や年金基金、生命保険会社といった国内の大手投資家だった。長期投資の観点から北朝鮮リスクは「過度には重視していない」と、108円台でドルを買った大手生保の関係者は明かす。

期初段階での主要生保の年度内予想レンジは、100円─125円程度。下期にかけて世界経済は改善が続き、米国の利上げは年内もう1回、来年3回程度との見立てがベースにある。先行きのドル高を見込んでいればこそ、「予想レンジ高値から10円安い(円高)ならお値打ち」(別の生保)と映るようだ。

ブラウン・ブラザーズ・ハリマンの通貨ストラテジスト、村田雅志氏は「米連邦準備理事会(FRB)の正常化路線は変わってない。長期投資の観点からは、米国が北朝鮮に対し軍事行動に移るという確度が高まりでもしない限り、ドル/円の下落はドル買いのチャンスとの意識が強まりやすい」と指摘している。

<上期抑えた外債投資>

財務省がまとめる「対外及び対内証券売買契約等の状況」からも、国内の長期投資家による年度後半の外債の買い余地がうかがえる。

4─8月(訂正)の対外中長期債投資は。5兆4934億円の買い越し。前年同期の11兆8199億円から半減した。中心は銀行による短期トレーディング目的の買い越しで、生命保険会社の買い越しは今年4─8月(訂正)に1兆2954億円と、前年同期の6兆0130億円の4分の1以下にまで縮小した。

上期の外債買いが盛り上がりを欠いたのは、トランプ期待・米追加利上げ期待が後退し、米長期国債の利回りが低迷したことが背景だが、期間利益を積まなければならない投資家は「下期出動」を迫られる。「上期の債券買いが抑え気味だっただけに、下期に膨らむ可能性もある」(国内証券)という。

長期投資家の間では、相場が下落してきたところを待ち伏せて買う「定置網方式」が常とう手段とされる。慌てて買い上がるのではなく、割安な水準でじっくり仕込む構えだという。このため、相場をどんどん押し上げるとはみられていないが、下期にかけてドルの下支え勢力になるかもしれない。

*本文12段落目の「4─7月」を「4─8月」に訂正しました。

平田紀之、基太村真司 編集:伊賀大記

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