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焦点:ドル/円と米金利の相関、今は10年より5年 金融政策がテーマ

[東京 5日 ロイター] - ドル/円相場を読むうえで現在、注目されているのが5年物の日米金利差だ。通常は10年物が材料視されやすいが、各国の金融政策の違いに為替市場のテーマが移りつつある中、金融政策の影響をより受けやすい中期ゾーンの金利が為替と連動しやすくなっている。タカ派姿勢に転じた米連邦準備理事会(FRB)と「出口」に依然遠い日銀との差が最近の円安を演出しているとの見方が多い。

ドル/円相場を読むうえで現在、注目されているのが5年物の日米金利差だ。写真は都内で2013年2月撮影(2021年 ロイター/Shohei Miyano)

<6月FOMCが転機>

今年に入ってから為替相場の主題は、各国のワクチン普及率だった。他国に先駆けて米国や英国でワクチンの普及が進むにつれて、米ドルや英ポンドがじりじりと上昇した。しかし、今は「各国の金融政策の方向性の差がメインテーマに変わる端境期にある」(みずほ銀行のチーフマーケット・エコノミスト唐鎌大輔氏)という。

FRBのタカ派転換への観測が強まる中、ドルは足元で、米5年債利回りとの連動性を高めている。先行きの景況感など様々な要因で動く長期金利や超長期金利に対し、短中期金利は金融政策の動きをダイレクトに反映しやすい。

6月15─16日の米連邦公開市場委員会(FOMC)では、今後の見通しを表すドットチャートの予想中央値で、2023年末までに2回の利上げが示され、「FRBが金融政策の正常化に向けて動き出したことが市場で強く意識されている」(バンク・オブ・アメリカのチーフ為替・金利ストラテジスト、山田修輔氏)という。

ドルインデックスは4月以降、下落傾向にあったが、6月のFOMC後に上昇トレンドに転換。パウエル議長は市場をなだめにかかっているが、米5年債利回りの上昇と連動する形で、再び4月前半以来の水準に戻している。

<テーパータントラム時との違い>

「議論をすることについて議論した」──パウエルFRB議長は6月のFOMC後の会見でテーパリング(緩和縮小)について、慎重な言い回しをした。2013年5月のテーパ―タントラム(かんしゃく)のような状況を避けるためとみられている。

13年5月、ドル/円は約3週間の間に103円後半から93円後半まで約10円急落したが、11月以降にテーリング決定観測が強まると105円台まで上昇。14年1月、実際にテーパリングが開始されると、いったん下落したが、その後はもみあいに転じた。

米5年債利回りはテーパータントラム後の約3週間で0.895%台から1.025%まで上昇と、この間はドル/円と逆相関の動きだった。その後、マーケットが落ち着くにつれ、連動性を回復させていった。

今回、米5年債金利とドル/円が連動しているのは、13年のような「ショック」が発生しなかったことが大きい。ただ、金融相場の中心だったFRBの姿勢変化で生じるインパクトはまだ読めない。現在、リスクオフ時に円買いが強まる傾向は当時よりも薄れているが、「カネ余り相場」の逆流には依然として警戒感がある。

<今回は「バズーカ」の支援なく>

5年債の日米金利差は日銀の超金融緩和政策によって、米債利回りにほぼ連動しているが、ドル/円が米5年債利回りとの連動性を高め始めたのはドルインデックスよりも早い今年1月ごろからだ。年初103円台だったドル/円は今年に入り上昇傾向を続け、2日時点で約1年3カ月ぶりとなる111円台半ばまで上昇している。

ワクチン普及の遅れで景況感が弱いことに加え、FRBを含め、各主要中銀が金融政策の正常化に向けた動きを模索する一方、日銀は金融緩和の「出口」に一番遠いとみられていることが、相対的に円が売られやすくなっている要因だとみられている。

今回、米国でテーパリングが実施された場合も、ドル高/円安圧力が高まるとの見方が出ている。ただ、14年は日銀による量的・質的金融緩和の導入が円安進行につながったこともあり、「今回は前回ほど値幅を伴った円安が進む可能性は低い」と、野村証券のチーフ為替ストラテジスト、後藤祐二朗氏はみる。

一方、みずほ銀行の唐鎌氏は、ワクチンの効果もあり、死者や重傷者が増加するリスクは低いとしながらも、変異株の広がりで再び感染者が爆発的に増えた際のマーケットの反応には警戒が必要だと指摘。「世界経済回復シナリオが崩れた場合、足元の円安基調から円高方向に変わる可能性がある」と話している。

(浜田寛子 編集:伊賀大記)

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