[東京 24日 ロイター] - 来週の外為市場は、英国の欧州連合(EU)離脱決定を消化するまでボラタイルな展開が予想される。週末にかけて落ち着きを取り戻しそうだが、金融市場の混乱で米国の利上げの可能性が大きく後退したとの指摘もあり、ドル/円の戻りは鈍いとみられている。
予想レンジはドル/円が98.00─105.00円、ユーロ/ドルが1.0800─1.1200ドル。
事前の世論調査ではEU残留派が多く市場はやや楽観的となっていただけに、離脱派勝利はネガティブインパクトが大きかった。東京時間でドルは7.5円超、ユーロは12円超、英ポンドにいたっては27円近い大幅な下げとなった。
来週初めは国民投票の余韻でボラティリティが高く、ドル/円は1日に上下3円程度の値幅が出る可能性もあるという。「98円近くまで下げればさすがに政府・日銀が躍起になって円高を止めにきそうだ」(国内金融機関)として、日銀の臨時会合などでの政策対応が期待される。
急落の反動で修正が入る可能性もあるが、米長期金利が低下しており、ドル買い機運は盛り上がりそうにない。戻りは鈍いとみられ、戻ったとしても105円台で上値が重くなりそうだ。
さらに「米国は7月の利上げの芽が完全に摘まれたうえ、年内実施の可能性も著しく低下した」(みずほ銀行のチーフマーケット・エコノミスト、唐鎌大輔氏)。同氏は、ドル向こう1カ月程度をかけて95円方向を試す展開を予想している。
<ポンド安の流れ収まるか>
ユーロは英国のEU離脱に伴う欧州経済への影響が意識されるため、ユーロ売り/ドル買いになりやすい。1.10ドルを割り込んだことでやや下げ余地が出たとみられているが、「1.08ドル付近ではショートカバーが入りそう」(外為アナリスト)との声が出ていた。
ポンドについては「離脱が決まったとはいえ、手続き時間などの関係で急激に英国経済が悪化するとは思わない。悲観的になりすぎた反動でポンド安の流れがいったん収まる可能性がある」(同)との指摘もあった。
経済指標では、28日に米1─3月期国内総生産(GDP)確定値、米6月CB消費者信頼感指数、29日に米5月個人所得・個人支出、30日に日本5月鉱工業生産、7月1日に日本5月全国消費者物価指数(CPI)、中国6月製造業購買担当者景気指数(PMI)、米6月ISM製造業景気指数などが発表予定。
為替マーケットチーム
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