March 3, 2018 / 12:03 AM / 9 months ago

コラム:ロシア新型核兵器の脅威、米国はどう対応すべきか

[1日 ロイター] - 一連の「無敵」新型核兵器を公表した1日の演説によって、ロシアのプーチン大統領は、その目的の多くを達成した。

 3月1日、一連の「無敵」新型核兵器を公表した演説によって、ロシアのプーチン大統領(写真)は、その目的の多くを達成した。モスクワで撮影。提供写真(2018年 ロイター/Sputnik/Mikhail Klimentyev/Kremlin)

18日の大統領選で再選を目指す政治家として、強い印象を与え、長年の経済的混乱と軍事的停滞に対する、ロシアの勝利を宣言した。

さらに、ロシアが主張する新型原子力巡航ミサイルが有する「実質上無制限の射程距離」は、米ミサイル防衛システムの効力に疑問を投げかけた。

もし本当なら、この新たな攻撃能力の出現は、米ロ関係や、世界の核不拡散の取り組みに重大な結果をもたらす可能性がある。

一連の新型核兵器は、宣伝目的の策略にすぎないと考える人もいる。他方で、核兵器実験が大気に残す放射性粒の痕跡記録に矛盾があることを怪しみ、プーチン大統領がシステム開発に要したと主張する時間や、現在の配備状況について、疑問を呈す人もいる。

だが、さらなる技術情報なしに、このミサイルを巡るプーチン大統領の主張が真実かどうかを見極めることは難しい。とはいえ、まったく新しい核兵器開発は、すでに緊張状態にある米ロ関係をさらに複雑なものにする。

両国は2010年、核戦力の規模を削減し、配備数を制限する二国間合意の核新戦略兵器削減条約(新START)に署名した。

新STARTには、まさにロシアと米国の新たな関係と、世界の核不拡散の取り組みの新たなスタートにする目的が込められていた。世界最大の核戦力を持つ両国が、こうした兵器の規模を削減し解体し始める時が来たと、世界に示したのだ。

同条約では、それぞれが存続可能な抑止力を維持しつつ、それを使って戦闘を始めて終了させるにはコストが大きくなり過ぎるため、戦闘シナリオでの使用を断念させるほどの巨大なミサイルについて、配備数を制限している。

新条約は、その目的のため、既存核兵器の近代化を行うことすら認めている。だが、新たな技術開発で、新STARTにどのようにそれを組み込み、カウントするかという問題が生じる。同条約は5条で、どちらかの国が「新たな種類の戦略攻撃兵器」を開発した場合、同条約の執行機関である二国間諮問委員会に検討を提起することになっている。

もしロシア政府が新型ロケットを相談なしに開発したなら、新START違反とも解釈できる。同条約は、特にロシアが合意されたレベルまで保有核戦力を縮小していないと2016年に指摘されて以降、薄氷を踏む状態にある。もし新STARTがいま崩壊すれば、世界の核不拡散努力は打撃を受ける。

そこで、米政府はどのようにプーチン大統領の好戦的な言動に対応すべきだろうか。

まず第1に、米国の政策立案者は、特に判断を下すのに必要な十分な情報が集まるまでは、過剰に反応すべきではない。

ロシアが新型ロケットを得たとしても、米国が世界最大級の備蓄核兵器と最先端核能力のコントロールを維持していることに変わりはない。米国の核戦力を実際の戦闘で使用すれば、技術の発展により、第2次世界大戦をはるかに上回る規模の壊滅的破壊をもたらす結果となる。

米政府の核抑止効果は万全だが、戦闘では絶対にこれら兵器を使わないというのがその意図であり、そうであり続けるべきだ。米政策立案者は、この核心部分を常に念頭に置くべきだ。

米国は今日でも、実践で核兵器を使用したことがある世界唯一の国だ。その決断は、日本の人命に甚大な被害を及ぼした。その重荷を背負う国はまた、核不拡散を強硬に推進する国でなくてはならない。

米国が兵器管理合意を後押しするとき、それは強さと決意の強力なメッセージとなる。1972年の生物兵器禁止条約や、1993年に化学兵器禁止条約が署名された時が、まさにそうだった。

米国は、核不拡散の取り組みが脇に転落する事態を許してはならない。核兵器を巡る他国の緊張を踏まえればなおさらだ。トランプ米大統領は、イラン核合意を頻繁に批判し、北朝鮮に対して強硬姿勢を取っている。このような、空威張りは危険であり、仮に新STARTが放棄された場合、米政府は新たな発火点を回避しなくてはならない。

もし米国が核不拡散の取り組みを放棄すれば、より多くの国が核兵器開発に着手する可能性が高いだろう。そうなれば、不安定な状態が広がり、最悪の場合、隣国と戦力の拮抗を図るため、冷戦時代の様な核や通常兵器の軍拡競争が起きるだろう。

プーチン大統領の高らかな誇示があっても、米国の決意の欠如が、世界的な核不拡散における亀裂となってはならない。

*筆者は、米ケイトー研究所の政策アナリスト。本コラムは筆者の個人的見解に基づいて書かれています。

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