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焦点:北朝鮮が巨大ICBM誇示、圧力と友好の「綱渡り」外交

[ソウル 11日 ロイター] - 北朝鮮が10日午前零時という異例の時間に開始した大規模軍事パレードでは、巨大な大陸間弾道ミサイル(ICBM)から、これまでは存在が確認されなかったタイプの戦車まで、さまざまな新型兵器が公開された。

北朝鮮が10月10日午前零時という異例の時間に開始した大規模軍事パレードでは、巨大な大陸間弾道ミサイル(ICBM)から、これまでは存在が確認されなかったタイプの戦車まで、さまざまな新型兵器が公開された。写真はパレードで披露された軍事車両。KCNA10日提供(2020年 ロイター)

それぞれの兵器によって開発段階はかなり異なるとみられるが、これらを利用して金正恩・朝鮮労働党委員長は北朝鮮の最新鋭の軍事力を世界に誇示しつつ、核戦力と通常戦力の実戦能力を高めているというのが専門家の意見だ。

まさに正恩氏は、トランプ米大統領との個人的に良好な関係、あるいは同盟国・中国との絆を損なわず、米国に対する圧力を強めて制裁の緩和を図るという「綱渡り」の外交政策を推進している。

かつて米中央情報局(CIA)で北朝鮮分析担当だったヘリテージ財団のブルース・クリングナー氏は「正恩氏の演説は米国を直接威嚇せず、むしろ北朝鮮の核戦力が自衛のためにあると印象づけている。そこから読み取れる明確なメッセージは、米政府の主張とは反対に、北朝鮮の核の脅威は、まだ解決されていないということだ」と述べた。

軍事専門家によると、軍事パレードの動画に映った巨大ICBMは、多弾頭式あるいは弾頭と移動式発射台(TEL)の大型化などによって破壊力が強まっている可能性がうかがえる。

<多弾頭式か>

今回のパレードの目玉は、何と言っても11軸という大型のTELに載せられた新型ICBMだろう。全長25-26メートル、直径2.5-2.9メートルと地上発射式では世界最大級だと専門家は話す。

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オープン・ニュークリア・ネットワークのメリッサ・ハンナム副所長は、発射実験されたこれまでで最も大きい「火星15」でも、米国全土を射程圏内に収めている。新型ICBMが実戦で使用される場合、多弾頭を搭載する能力を備える公算が大きいとの見方を示した。

ジェームズ・マーティン不拡散研究センター(CNS)のジェフリー・ルイス研究員は、北朝鮮が弾頭を追加する方が、米国が迎撃ミサイルを拡充するよりもずっとコストが安いと懸念する。「北朝鮮が新型ICBMに3─4個の弾頭を搭載することができるなら、われわれは1基のICBMに対しておよそ12から16の迎撃ミサイルが必要になる。米国が直近で14の迎撃ミサイルを購入した費用は10億ドルに上る」という。

ただ、別の専門家は新型ICBMでは単に、より大型の単弾頭を搭載する狙いなのではないかと述べる。韓国海軍を退役し、キョンナム大学極東問題研究所の教授を務めるKim Dong-yup氏は「多弾頭技術を北朝鮮は、まだ完全に手の内に入れていないと私は考えている」と述べた。

<大型TEL>

新型ICBMを運んでいた大型TELも、専門家の目を引いた。CNSのデーブ・シュマーラー研究員は、北朝鮮は中国から細々と大型TELの供給を受けており、大型TELの不足がこれまで配備できるICBMの制約になっていたにもかかわらず、国産化された、より大きなTELが目撃されたと説明した。

もっとも巨大ICBMと大型TELには落とし穴もあると、欧州のミサイル専門家、マーカス・シラー氏は指摘する。これらを動かすには特別な道路や橋が必要になり、そうした設備が整っていない北朝鮮で発射位置まで移動させるなら、最長で半日はかかりそうだという。いざ実戦になってからでは迅速な配備が難しく、主に政治的な警告を与える手段としてのみ使われるだろうと予想した。

<SLBM>

北朝鮮は「北極星4」と記された新型の潜水艦発射弾道ミサイル(SLBM)に見えるミサイルも、パレードに登場させた。

米シンクタンクの情報分析サイト、38ノースの専門家チームはリポートで「新型SLBMが実戦配備されるとすれば、北朝鮮が昨年7月に建造中と示唆した新型潜水艦に搭載するつもりかもしれない」との見解を表明。その上で、少なくともミサイルのモーターケースの一部に軽量化と射程距離延長、搭載弾頭量増加を可能にする技術が見受けられたとした。

(Josh Smith記者)

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