[フランクフルト 7日 ロイター] - 欧州中央銀行(ECB)は7日、主要政策金利を予想通り据え置いた。また、危機後初となる利上げの時期を来年に先延ばしし、銀行向けの超長期の低利融資を再び実施すると発表した。
ドラギ総裁の理事会後の記者会見での発言は以下の通り。
<基調的インフレ抑制>
地政学的要因、保護主義の脅威、新興国市場の脆弱性に関連した不透明感が根強く、景況感に強い影響を与えているようだ。さらに基調的なインフレは引き続き抑制されている。
<成長ペースかなり緩やかに>
成長を圧迫する特有の国内要因が一部消えつつあることを示す兆候はあるものの、景気指標の弱含みは景気拡大ペースがかなり緩やかになることを示す。
<物価圧力>
本日の決定は、域内物価圧力のさらなる蓄積と中期的な総合インフレ率の動向を支援することになる。
<多大な政策刺激>
主要政策金利に関するフォワードガイダンス、保有資産の再投資と新たな貸出条件付き長期資金供給オペ(TLTRO)によって、金融政策による多大な刺激が継続する。
<支援要因>
有利な資金調達環境、好ましい労働市場のダイナミクス、賃金の伸び加速が引き続きユーロ圏の拡大を支援し、インフレ圧力を緩やかに押し上げている。
<インフレの鈍化>
景気減速によりインフレ率のECBの目標に向けた調整が鈍化している。
<TLTROの設計>
TLTROはさまざまな目的に対応できるよう設計されている。ただ主要な目的は、向こう数年間で銀行資金を巡る情勢がどのようになっているかということだ。
<決定は全会一致>
(7日の理事会で採決に掛けられた措置について)全会一致が見られた。これらの措置が複雑であることを考えると、理事会内に結束力があることを示す極めて良好な兆候となった。
<総合インフレは鈍化へ>
総合インフレは現行の水準近辺にとどまり、その後年末にかけて鈍化する公算が大きい。
<インフレは中期的に上昇>
基調的なインフレは、金融政策対応や経済の継続的な拡大、賃金の伸びが下支えとなり、中期的に上昇する見込みだ。
<成長リスクは下向き>
ユーロ圏の先行きの成長を取り巻くリスクは、地政学的要因に絡む根強い不透明感や保護主義の脅威、新興国市場の脆弱性に伴い、依然として下向きに傾いている。
<あらゆる手段調整の用意>
ECB理事会は、インフレが引き続き持続的な形で確実に目標に向かうよう、必要に応じてあらゆる手段を調整する用意がある。
<銀行融資>
特にTLTROなど、この日の理事会で決定した政策措置は、銀行融資状況が良好であり続けることを確実にすることの一助となる。
<構造改革>
復元力を増大させ、構造的な失業を引き下げ、ユーロ圏の生産性と潜在成長力を押し上げるために、ユーロ加盟国は構造改革の実施を大幅に強化する必要がある。
<景気後退の確率は非常に低い>
理事会メンバー全員がベースラインへの信頼感を示した。景気後退の確率が非常に低いと評価したことなどを示す。
<銀行の資金供給「過密」に>
今後数年間、既存のTLTROで相当規模の銀行債券の償還期限が迫るなどして、銀行の資金供給が過密になる事態が予想される。従ってTLTROで、好ましい銀行融資条件や金融政策の円滑な波及を保全する。
<下振れリスクを維持した理由>
われわれは下向きに傾いているとのリスク評価を維持した。なぜか。われわれの決定がユーロ圏経済の復元力を確実に高めると認識しているが、ユーロ圏経済を圧迫する世界の他地域の要因に対処することができるかと問われるとできないためだ。
<復元力>
基本的に、われわれの政策はユーロ圏経済の復元力を高め、持続的なインフレ率への収束という目標達成に向けた確信につながっている。
<保護主義的な対応>
経済に関するスタッフ予想は、これまでに表面化している保護主義的な政策対応を加味しているが、将来の政策もしくは現在の協議の行方に関する評価を示すものではない。
<追加資産購入について>
(追加資産購入はあり得るかとの質問に対し)選択肢はあちこちに転がっている。問題はある特定の手段を用いる根拠となる偶発性が認められるかどうかだ。これについては現時点で憶測を控えたい。
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