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コラム:欧州銀の「失われた10年」
2017年8月11日 / 00:09 / 1ヶ月前

コラム:欧州銀の「失われた10年」

 8月9日、世界金融危機の入り口から10年を迎えたが、欧州の銀行の株主資本利益率(ROE)は記念日をお祝いできるほどには回復していない。写真はフランクフルトのECB本部で7月撮影(2017年 ロイター/Ralph Orlowski)

[ロンドン 9日 ロイター BREAKINGVIEWS] - 世界金融危機の入り口から10年を迎えたが、欧州の銀行の株主資本利益率(ROE)は記念日をお祝いできるほどには回復していない。欧州中央銀行(ECB)のマイナス金利政策が終われば、もっと晴れやかに祝えるようになりそうだ。

現在の欧州銀はこれまでになく安全に、また公益企業らしくなっている。トムソン・ロイターのデータによると、2007年8月9日にBNPパリバが傘下ファンドの一部について解約を凍結すると発表して以来、欧州の銀行業界は約4100億ユーロの増資を行った。この結果、株主は痛手を被り、この10年間のユーロストックス銀行株指数のトータルリターン(配当を再投資)はマイナス53%だ。

しかしここにきて、そうした流れも反転し始めている。ユーロストックス銀行株指数は過去1年間で50%以上も上昇し、iボックス欧州銀行債券指数を楽々アウトパフォームした。これはバリュエーションの違いが一因だ。債券が過去最高値近辺で推移しているのに対し、大手欧州銀株は株価純資産倍率(PBR)で見て1倍前後にまでしか戻っていない。株価のバリュエーションは収益向上や景気回復、バランスシートの強化に加え、株主割当増資がついに終わるとの確信に支えられて回復してきた。

マイナス金利という逆風にもかかわらず、BREAKINGVIEWSの計算によると大手欧州銀のROEは平均9%と、資本コスト並みになった。

銀行がローン債権の価格を再評価できるようになり、ECBに預けている超過預金にマイナス金利を課されなくなれば、利益は急増するだろう。コメルツバンクは、ECBが中銀預金金利をゼロに引き上げれば、自行の純金利収入は年間2億7500万ユーロ増えると推計している。これは2016年の純金利収入の5%に相当する。

欧州銀は波乱万丈の日々を経てきたため、2019年の予想利益に基づく株価収益率(PER)は10倍にとどまっている。これは公益など他のセクターに比べて割安だ。ECBが超金融緩和政策を解除すれば、欧州銀の株主はいよいよ胸を張って祝杯を上げることができるだろう。

*筆者は「Reuters Breakingviews」のコラムニストです。本コラムは筆者の個人的見解に基づいて書かれています。

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