for-phone-onlyfor-tablet-portrait-upfor-tablet-landscape-upfor-desktop-upfor-wide-desktop-up
コラム

コラム:ECBの情報発信、レーン理事の行動で問題露呈

[ロンドン 2日 ロイター BREAKINGVIEWS] - 「カエサルの妻たるもの、微塵も疑われるようなことさえあってはならない」という古代ローマの英雄の言葉にある通り、欧州中央銀行(ECB)も不審を招く行動は厳に慎むべきだ。チーフエコノミストのフィリップ・レーン理事がECBのメッセージを伝えるために行った取り組みは、不正でないが、疑いを与えるなという教えには反する。ただECBが市場との対話方法を厳しく律することはできるが、レーン氏の戦略は、もっと根深い問題の存在も示している。

12月2日、 「カエサルの妻たるもの、微塵も疑われるようなことさえあってはならない」という古代ローマの英雄の言葉にある通り、欧州中央銀行(ECB)も不審を招く行動は厳に慎むべきだ。写真は2019年9月、ニューヨークでロイターのイベントに参加するレーン理事(2020年 ロイター/Gary He)

レーン氏は今年3月以降、定例理事会後に金融機関と意見交換をしていたことが、公式の日報から確認できる。相手はブラックロックやドイツ銀行、ゴールドマン・サックスなどで、ECBの政策決定後に行われるラガルド総裁の記者会見直後に実施していた。2015年に当時のクーレ理事が、ヘッジファンドが出席する夕食会でスピーチをしたことが大騒ぎになった事態を踏まえ、ECBは内規を厳格化。現在は、市場が敏感な情報をECB高官が非公式の催しで漏らすことを禁じている。

そうした会合は有用かもしれない。ECB政策担当者は、市場関係者の行動を理解するために投資家やバンカーの考えを知っておく必要があるからだ。それでもレーン氏の意見交換は、ECBの内規をさらに修正する必要性を示唆している。グループ制にすれば、個別に話をするよりも秘密が漏れたかもしれないとの疑念を差し挟む余地が多少小さくなる面はあるだろう。

理事会のそこまで直後に市場の情報を集める必要もない。むしろレーン氏の件では、ECBの意図をきっちり浸透させる狙いがこのタイミングにつながったのではないか。ただレーン氏が常に、ラガルド氏が発したばかりの言葉を補強するか、わかりやすく説明しなければならないとすれば、何か不備があることになる。

実際ラガルド氏は何度か「失言」をしている。特に3月12日、ユーロ圏の国債利回り格差を縮小するためにECBが存在するわけではないと述べると、イタリア国債利回りが11年のユーロ債務危機以降で1日として最大の上昇率を記録し、すぐさま発言撤回に追い込まれた。その後同氏の発信力は向上しているものの、問題はこれだけにとどまらない。ECBの総裁・副総裁と4人の専務理事で構成する執行部の情報発信こそ、総じては足並みをそろえている半面、19カ国の中央銀行総裁の発言内容が大きくばらつくケースが多々ある。そうした中銀の「不協和音」が生み出す対話の問題は、情報入手で不公平さがあるとみなされることより、解決が難しい。

●背景となるニュース

*ECBのチーフエコノミストであるレーン理事は3月以降、定例理事会後に金融機関と意見交換をしていたことが、公式の行動日報から確認できる。

*意見交換の相手はブラックロック、ドイツ銀行、ゴールドマン・サックス、ウニクレディトなどだが、月によって異なっている。

(筆者は「Reuters Breakingviews」のコラムニストです。本コラムは筆者の個人的見解に基づいて書かれています)

*このドキュメントにおけるニュース、取引価格、データ及びその他の情報などのコンテンツはあくまでも利用者の個人使用のみのためにロイターのコラムニストによって提供されているものであって、商用目的のために提供されているものではありません。このドキュメントの当コンテンツは、投資活動を勧誘又は誘引するものではなく、また当コンテンツを取引又は売買を行う際の意思決定の目的で使用することは適切ではありません。当コンテンツは投資助言となる投資、税金、法律等のいかなる助言も提供せず、また、特定の金融の個別銘柄、金融投資あるいは金融商品に関するいかなる勧告もしません。このドキュメントの使用は、資格のある投資専門家の投資助言に取って代わるものではありません。ロイターはコンテンツの信頼性を確保するよう合理的な努力をしていますが、コラムニストによって提供されたいかなる見解又は意見は当該コラムニスト自身の見解や分析であって、ロイターの見解、分析ではありません。

for-phone-onlyfor-tablet-portrait-upfor-tablet-landscape-upfor-desktop-upfor-wide-desktop-up