June 1, 2019 / 11:20 PM / 16 days ago

コラム:ECB次期総裁、実力主義で選ぶならこの人

[ロンドン 29日 ロイター BREAKINGVIEWS] - 欧州中央銀行(ECB)の次期総裁が、純粋に実力に基づいて選ばれると想像してみよう。現実には、ドラギ現総裁の後任選びには欧州連合(EU)各国間の複雑な綱引きが絡んでくるだろう。

 5月29日、欧州中央銀行(ECB)の次期総裁が、純粋に実力に基づいて選ばれると想像してみよう。現実には、ドラギ現総裁の後任選びには欧州連合(EU)各国間の複雑な綱引きが絡んでくるだろう。写真はECBのドラギ総裁とフィンランド中央銀行のレーン総裁。2014年1月撮影(2019年 ロイター/Francois Lenoir)

しかし、フィンランド中央銀行のレーン総裁が29日述べた通り、決め手は国籍ではなく能力であるべきだ。仮に政治家がこの言葉にうなずくとした場合、以下の3つの大まかな基準に照らして候補者を判断するかもしれない。

ECB総裁の第1の資格は、中銀における経験だ。ECB総裁という職務は、金融政策の未経験者に任せるにはあまりに重い。そう考えると女性候補がいなくなってしまうのは嘆かわしい。しかし中銀総裁経験の無い人物のパラシュート人事は慎むべきだ。従ってフランス中銀のグラール副総裁や国際通貨基金(IMF)のラガルド専務理事などは除外される。

EU諸国以外からの起用は検討しないとすると、候補者はフィンランド中銀のリーカネン前総裁ら、中銀の現総裁か前総裁に絞られる。

第2の資格は、ユーロ圏全体の投資家と市民を納得させる能力だ。まずは自国内でのコミュニケーション能力が出発点だが、ECB総裁となれば、時として物議を醸す政策を19カ国すべてに売り込む必要がある。

つまり、ドイツ連銀のワイトマン総裁は国内では人気かもしれないが、イタリアやギリシャの国民を説得するのには苦労するだろう。ECBの超緩和政策を声高に批判してきたからだ。オランダ中銀のクノット総裁も同様のハンディがあるかもしれない。一方でベルギー中銀のウンシュ総裁は国外での知名度が低い。

対照的に、フランス中銀のビルロワドガロー総裁はフランス語、ドイツ語、英語を操る。欧州委員会で要職を務めた経験のあるレーン、リーカネン両氏もこの点では秀でている。ドラギ総裁と緊密に協力してきたフランス人のクーレECB専務理事も同じだ。現職の専務理事は総裁候補の資格を持たない、というルールを適用するなら、クーレ氏は候補から外れるかもしれない。しかし中銀にとって言葉が欠かせない道具になった今、EU指導者らが意思疎通に抜きんでた人物を望むなら、ルールを回避する道は見つかるだろう。

柔軟性も欠かせない要件となる。ECB次期総裁はおそらく、8年の任期中に金利が極めて低い状態で景気の悪化に直面するだろう。その時には伝統的な中銀の政策手段を超えた発想、創造性が必要になる。

この点ではレーン氏に分がある。同氏は29日、ECBはインフレが低水準にとどまっている理由を分析し、場合によっては中長期的な金融政策の戦略を見直すべきかもしれないと述べた。

フランスとドイツがEUの要職確保に躍起になっていることを考えれば、現実にはワイトマン氏とビルロワドガロー氏が有力候補なのだろう。しかし実力主義の世界に行けば、両氏は苦戦を強いられそうだ。

●背景となるニュース

・フィンランド中央銀行のレーン総裁(ECB理事)は29日、Reuters Breakingviewsの催しで、次期ECB総裁選びでは国籍を判断材料とすべきではない、と述べた。

・レーン氏はまた、ECBは金融政策の戦略を見直し、物価安定の定義を緩和すべきだとの考えを示した。現在の定義は2%弱となっているが、「私見では2%は上限ではなく、インフレ率が上下いずれの方向に逸脱してもよい」と述べた。

*筆者は「Reuters Breakingviews」のコラムニストです。本コラムは筆者の個人的見解に基づいて書かれています。

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