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ECBが追加緩和、一段の利下げ否定:識者はこうみる
March 11, 2016 / 1:38 AM / 2 years ago

ECBが追加緩和、一段の利下げ否定:識者はこうみる

[東京 11日 ロイター] - 欧州中央銀行(ECB)は10日、主要3金利の一斉引き下げや月額の資産買い入れ枠拡大を含む一連の追加緩和策を発表した。

 3月11日、欧州中央銀行(ECB)は10日、主要3金利の一斉引き下げや月額の資産買い入れ枠拡大を含む一連の追加緩和策を発表した。写真はECBのロゴ。フランクフルトで1月撮影(2016年 ロイター/Kai Pfaffenbach)

市場関係者のコメントは以下の通り。

<UBS証券・デスクストラテジスト 井川雄亮氏>

朝方の円債相場で、国債先物が急落し、10年債利回りは一時プラス水準に戻した。ドラギ欧州中央銀行(ECB)総裁が一段の金利引き下げが必要になるとは思わないと発言したことで、利下げ打ち止め感が浮上。日本でも、日銀が一部当座預金に適用しているマイナス金利をさらに引き下げることは難しいとの思惑が広がったためだ。少なくとも、日銀は3月金融政策決定会合でマイナス金利の引き下げをできる環境ではなくなった。

ECB理事会で追加緩和が決定されたが、ドラギ総裁の発言は銀行収益に対する懸念を和らげる狙いがあったのだろう。

しかし、ECBは新たに開始するTLTROプログラムでレートがマイナスになる可能性がある。日銀としては、貸出支援制度のレートをマイナスに引き下げるといった政策微調整を行う可能性がある。

<BNPパリバ証券 日本株チーフストラテジスト 丸山俊氏>

今回、欧州中央銀行(ECB)が発表した主要3金利の一斉引き下げや月額の資産買い入れ枠拡大を含む一連の追加緩和策の内容自体は評価されるべきだ。市場に失望感を与えた昨年12月に比べて100点満点の内容とみている。

ただ、ECBの追加緩和が事前に予想されていたこともあり、いったん利益確定売りが優勢となっているのだろう。また政策の効果に対する疑問もある。市場は今回の政策でも欧州金融機関のバランスシートの縮小に歯止めをかけることはできないと判断しているのではないか。効果が表れるまで時間がかかる金融政策よりも、財政出動など直接的な景気押し上げ策を望んでいる面も見受けられる。

<みずほ銀行 チーフマーケット・エコノミスト 唐鎌大輔氏>

欧州中央銀行(ECB)の追加緩和策をひとつひとつ吟味すれば、市場予想の上限を超えているか、上限に近いものだった。ドラギ総裁が会見で先行きの緩和可能性や、必要に応じて躊躇(ちゅうちょ)なく動くという姿勢を示せばユーロは売られただろう。ただ、これ以上、マイナス金利を広げていくと思われたくない意思が伝わってきたことで、結局、買われた。政策の限界を示したといえる。   

ECBのマイナス金利政策の深堀りは、終わりが近い。日銀のように階層化すればもう少し掘り下げられるだろうが、階層化はユーロ圏では無理という結論に達しているようだ。

ユーロの方向性をめぐっては、英国のEU離脱の問題もある。これがリスク要因として強く意識されれば、ECBが追加で手を打たなくてもユーロは1.10ドルを割れた水準を謳歌(おうか)できる可能性もある。英国がEU残留となれば、ユーロは1.15ドルを超えていくだろう。

<SMBC信託銀行プレスティア シニアFXマーケットアナリスト 尾河眞樹氏>

欧州中央銀行(ECB)の追加緩和は、市場の期待を上回るメニューをそろえた。これによってユーロはいったん下げたが、会見でのドラギ総裁の発言からマイナス金利幅拡大に対する消極姿勢との受け止めが出て、ユーロは上昇に転じた。短期的には、先行きへの失望感からユーロは1.10─1.12ドルと、高値圏での推移になる可能性がある。

日銀がマイナス金利を導入した後に円高が進んだこともあって、中銀のマイナス金利が機能していないとの見方が、いったんは広がり得る。足元では日銀による追加緩和への思惑も後退し、ドル/円は短期的に円高圧力がかかりやすい。

ただ、イベント後のユーロ急騰は、総裁発言に対する過剰反応だとみている。ドラギ総裁は、現行の見通しに基づけば一段の利下げは必要だとは今は考えていない、と述べたが、これまでにも同様の発言をしてきている。

マイナス金利などECBの政策によって、銀行貸し出しが増えたり、貸し出し態度が改善するなど、実体経済での効果は出てきている。今回の施策も、時間をかけて効力を発揮していくだろう。この中で、ユーロへの過剰反応も徐々に和らいでいくとみている。

投機筋のユーロショートは縮小しており、英国のEU離脱問題など、ユーロ圏にマイナスの材料にはユーロ安に反応しやすい。米経済も底堅さが見られる。いずれユーロ安/ドル高の方向に再び向かうだろう。ユーロは年央で1.08ドル、年末に1.05ドルと予想している。

<JPモルガン・チェース銀行 チーフFX/EMストラテジスト 棚瀬順哉氏>

前日の欧州中央銀行(ECB)の追加緩和策は、マイナス金利の限界をあらためて示すものとなった。

マイナス金利は、イールドカーブの押し下げを通じて、マクロ経済に効果を及ぼすかもしれないが、効果が顕現化するには時間がかかるため、結果が出ていない。さらに、短期的に通貨を押し下げて、インフレ期待を高める効果についても、実証できていない。

ユーロは前日、追加緩和策にも関わらず、主要通貨の中で最強の通貨となっている。

他方、マイナス金利が金融機関の収益を圧迫し、市場のボラティリティを高める副作用は懸念されており、これがドラギ総裁が利上げ打ち止めを示唆した背景であろう。

来週には日銀金融政策決定会合を控えるが、金融市場が比較的に落ち着いていることや、マイナス金利のマクロ経済への影響が確認できない状況下では、金融政策を据え置く蓋然性が高いとみている。

マイナス金利の為替相場への波及効果については、当該国の通貨が資金調達通貨であるか否かや、経常収支が左右するとみている。

ユーロ圏、スウェーデン、スイス、日本など、マイナス金利導入国は全て経常収支黒字国であり、もともと通貨のファンダメンタルズが強い国々。マイナス金利の副作用としての株安が進行する局面では、黒字国の通貨が買われやすいというジレンマがつきものだ。

日本において、ポートフォリオリバランス効果が円安をもたらすためには、主要な日本国債(JGB)保有者が、JGBを売って外債に乗り換えることが必要となる。

財務省統計では、2月に本邦勢が対外証券投資を拡大したことが認められるが、金融機関や生命保険会社などの投資はヘッジ付きであり、為替相場への影響は限定的なものに留まる。

個人投資家の外債シフトによる円安経路も考えうるが、個人はJGBを大量に保有しているわけではなく、預金金利もマイナスになっていないため、「外もの」投資を拡充するインセンティブは高くないとみられる。

*写真を差し替えます。

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