July 23, 2019 / 1:26 AM / 3 months ago

アングル:今週のECB理事会、5つの重要な問い

[ロンドン 22日 ロイター] - 欧州中央銀行(ECB)は24─25日の理事会で、追加緩和について詳しい内容にまで言及しないかもしれないが、実施時期が近いというはっきりしたシグナルを打ち出す──。投資家はこう期待している。

7月22日、欧州中央銀行は今週の理事会で、追加緩和について詳しい内容にまで言及しないかもしれないが、実施時期が近いというはっきりしたシグナルを打ち出す──。投資家はこう期待している。フランクフルトのECB本部前で2018年4月撮影(2019年 ロイター/Kai Pfaffenbach)

ECBのドラギ総裁は6月の会見で、一向に上向かない物価上昇率に対処する目的で新たな緩和に動くと示唆。他の理事会メンバーもそうした考えを支持し、市場では利下げや資産買い入れが準備されているとの観測が広がってきた。

米中貿易摩擦がユーロ圏の輸出業者に打撃を与え、米連邦準備理事会(FRB)は月末に利下げに踏み切ると予想される中で、市場はECBも9月には利下げすると見込んでいる。

そこで今週の理事会で浮上してくるECBに対する主な疑問点は以下の5つだ。

(1)25日には何が出てくると期待できるのか?

ロイターのエコノミスト調査によると、ECBはフォワードガイダンスを緩和バイアスに修正し、9月に中銀預金金利を引き下げる道筋を敷くとみられている。

ベレンベルクのエコノミスト、フロリアン・ヘンセ氏は「弱い経済成長となお低調な物価上昇率に対応するため、ECBは今月ガイダンスを修正し、政策金利を『現状』水準ではなく『現状ないしより低い』水準に維持すると約束する公算が大きい」と述べた。

ドイツ10年債利回りは今月に入って一時中銀預金金利を下回るなど債券市場は既に9月利下げに備えており、もしそうしたシグナルが発せられなければ混乱が生じそうだ。

(2)今月利下げの可能性はゼロか?

アナリストによると、ECBが9月まで利下げを待てば、それ以外の措置を盛り込んだ緩和パッケージとして実行するための猶予が得られる。9月には最新の経済物価見通しも公表され、ECBの大規模な政策変更はこうしたタイミングで行われる傾向がある。

UBSは、ECBが9月に10ベーシスポイント(bp)の利下げとともに、マイナス金利が銀行に及ぼす悪影響を和らげる意図で中銀預金金利の階層化を打ち出すと予想した。

とはいえ今月の利下げを完全に排除はできない。ECBは、ドル安/ユーロ高をもたらして欧州の輸出に痛手を与え、物価を下押しするFRBの利下げに先んじて動きたいと思うかもしれないからだ。

ある関係者はロイターに、ECBが利下げする場合、既に非常に低い借り入れコストをさらに減らすよりも、ユーロ高を抑え込むことが主な理由になるとの見方を示した。

コメルツ銀行はECBが市場の期待に先行する姿勢を保つために、25日に20bpの利下げを実施するとみている。

(3)ECBは量的緩和(QE)復帰に備えているか?

一部の銀行がそう考えているのは明らかで、新たな資産買い入れを可能とする上でECBにどんなルール変更が必要か調べ始めた。

ECBは2015年以降、公的セクターの債券2兆ユーロを買い入れたことから、一国の国債について保有上限を残高の3分の1以内に抑えるという自主ルールの限界が近づいてきた。こうしたルールに触れるのを避ける1つの方法として、債務再編の際に各国中銀の拒否権を奪う案も浮上している。

またピクテ・ウェルス・マネジメントのストラテジスト、フレデリック・デュクロゼ氏は「ECBは単一発行体の国債保有の上限を引き上げる用意があると表明することができる。なぜそうしないのか。必要な手間はそれほど多くない」と述べた。

一方、最近市場では2%弱という物価目標の修正が検討されているとのうわさが出ている。もしECBがこれに触れれば、超低金利の長期化観測が一層強まってもおかしくない。

(4)ドラギ氏がラガルド次期総裁に関して見解を披露するか?

10月末に任期を終えるドラギ氏の後任には、ラガルド国際通貨基金(IMF)専務理事が就任する。

ラガルド氏が金融政策運営の経験を欠いているとの批判が出ていることに関して、既にECBのクーレ理事はラガルド氏には「誰にもない総裁としての適格性がある」と擁護している。

ドラギ氏もこうした意見に同調しそうだ。また記者からは、退任直前に新たな緩和パッケージを実施すればラガルド氏の手足を縛ってしまうのではないかと問われるかもしれない。もっとも市場にとっては、過去のQEを支持していたラガルド氏がECBのハト派的な政策を引き継ぐのは織り込み済みだ。

(5)ECBはTLTRO3を強化する可能性はあるか?

ECBの政策スタンス変更は市場の予想物価安定に寄与しているとはいえ、予想物価水準自体はまだ非常に低い。

そうした中で物価と成長を上向かせることを狙って、ECBは銀行向けの第3弾の貸出条件付き長期資金供給オペ(TLTRO3)の条件をより寛大にする可能性もある。

6月に公表し、9月から実施予定のTLTRO3に適用する金利は、マイナス0.3%と中銀預金金利に0.1%ポイント上乗せした水準。ただ直近のECB理事会議事要旨によると、一部の政策担当者はTLTRO3の条件を以前の実行分と同じ程度まで緩めるべきだと主張した。

TDセキュリティーズのグローバル・マクロ戦略責任者ジェームズ・ロシター氏は「過去2カ月間で世界的な成長面のリスクが高まり、不確実性が大きくなっている。TLTROの条件緩和を迫る圧力はそこに起因する」と指摘した。

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