(発言内容を追加しました)
[ヌサドゥア(インドネシア) 12日 ロイター] - 欧州中央銀行(ECB)のドラギ総裁は、今後数年のユーロ圏インフレについて、徐々に上昇する基調にあるとの見通しを示した。比較的活発な上昇を予見していたこれまでの発言からややトーンダウンした形。
ただ見通しに対するリスクとして、保護貿易主義やハードブレグジットを挙げた。
国際通貨基金(IMF)の年次会合で総裁は、「2%を下回る水準へのインフレ率の持続的収束が進むとともに、資産買い入れをネットベースで段階的に縮小しても維持されるとのECBの見方が、今後の情報で引き続き支持される」と指摘。
「同時に、保護貿易主義の拡大による不透明感、新興国市場や金融市場のボラティリティ―による脆弱性が、最近になってより注目されるようになった」との見方も示した。
総裁は「中期インフレ見通しに対する理事会のこれまでの評価を、最近の動向は裏付けている。インフレ見通しに対する不透明感は後退した」と指摘。
「より広い金融の安定について、最近の状況からみて金融市場のボラティリティーの高まりは域内諸国や市場に限定的な影響しか及ぼしていない」とも述べた。これは最近のイタリア国債利回り上昇に言及したとみられている。
ただ対外的なショックへの懸念に言及。
「英国の秩序だった欧州連合(EU)離脱は、ユーロ圏内の金融安定に総じて限定的なリスクしか及ぼさない」と指摘。「しかし崖っぷちでの離脱は金融の安定に大きな下振れリスクを及ぼす可能性がある」と述べた。