Reuters logo
ECB決定持ち越し、ユーロ高「不透明要因」:識者はこうみる
2017年9月8日 / 01:48 / 2ヶ月後

ECB決定持ち越し、ユーロ高「不透明要因」:識者はこうみる

[東京 8日 ロイター] - 欧州中央銀行(ECB)は7日の理事会で主要政策金利を予想通り据え置いた。ドラギECB総裁は、緩和策縮小をどのように進めるか検討するにあたりユーロ相場が主要な要因になるとの考えを示した。

 9月7日、欧州中央銀行(ECB)は理事会で主要政策金利を予想通り据え置いた。ドラギECB総裁は、緩和策縮小をどのように進めるか検討するにあたりユーロ相場が主要な要因になるとの考えを示した。 写真はフランクフルトで撮影(2017年 ロイター/Kai Pfaffenbach)

──ECB、ユーロ高が「不透明要因」と指摘 決定持ち越し

──ECB理事会後のドラギ総裁発言要旨

市場関係者のコメントは以下の通り。

●想定内、ユーロは緩やかな上昇軌道に回帰

<クレディ・アグリコル銀行 外国為替部長 斎藤裕司氏>

ドラギ総裁は、10月の理事会で量的緩和の段階的縮小(テーパリング)を議論すると述べた。想定通りの内容という印象だ。事前に、準備が12月まで整わないとの観測が出ていたことや、強いユーロ高けん制があるのではないかという見方から、ユーロに利益確定やスピード調整が入っていたので、昨日はその分の巻き戻しの動きが出た。

ユーロは1.20ドル台に乗り、緩やかに上昇する軌道に戻ってきた。仮に調整が入ったとしても、中期的に1.15ドルの方向に急激に下げることはないと思われる。

昨日はユーロ/ドルでのドル売りがドル/円にも波及した。米金利の低下もあってドルは年初来安値108.13円を下回った。9日に北朝鮮で建国記念日を控えているほか、ハリケーン「イルマ」の被害も織り込まなければならない。週末にかけてドル/円のトレンドは下向き。少なくても週明けまではドルは買いづらい。

●正常化への期待過剰、ユーロは高値警戒

<みずほ銀行 チーフマーケット・エコノミスト 唐鎌大輔氏>

拡大資産購入プログラム(APP)縮小に関する決定が10月会合で行われることも、ユーロ高に対するけん制が見られることも、全てが市場予想通りだった。APP縮小に関して、今回の会合で詳細な決定まで期待する向きもあったようだが、前回7月会合で議論すらされていなかったものが、一足飛びに今回議論着手となり、決定まで至るということは考えにくかった。

欧州中央銀行(ECB)から供給された情報のほとんどは想定の範囲内だったが、ユーロの反応だけは解せない。声明文もドラギ総裁の会見も、かなりはっきりとユーロ高に対する懸念が表明されており、真っ当に考えれば、この状態からユーロ買いを進めるのは相当勇気が必要だ。今回、物価見通しが引き下げされたが、その大部分はユーロ高に起因し、政策決定で考慮すべき要因だとされている。このような状況下、1.20─1.25ドルのレンジでは高値警戒感を持ちながらの取引を心掛けるべきだろう。

6月末以降の金融市場では、総じてECBの正常化プロセスへの期待が強まりすぎている印象が強い。声明文でも指摘されているように、利上げに着手できるのはAPPが縮小され、廃止まで至った後であり、それは最速でも恐らく2019年以降だろう。ECBがユーロ高を嫌気していることを考慮しても、過去数カ月のユーロ買いは過剰といわざるを得ない。

●緩和縮小進めにくい状況

<みずほ証券 チーフマーケットエコノミスト 上野泰也氏>

グローバルにディスインフレ状況が続く中で、無理をして量的緩和の縮小を進めようとすると、ユーロ高となる。金融政策の正常化がいきづまるジレンマがある。欧州中央銀行(ECB)が突出して何かを行おうとすると、杭が打たれた格好になる。

また、ドラギ総裁のユーロ高けん制発言は踏み込み不足という市場の受け止め方になった。

金利については、閉塞感のある中で欧米ともに緩和縮小が進めにくい状況にあるので、金利は低下基調にとなっている。さらに北朝鮮リスクも加わっている。円債に関しても20年債を中心に金利低下余地を探る動きになりそうだ。

●ユーロ高は継続、欧州関連銘柄を推奨

<JPモルガン証券・チーフストラテジスト 阪上亮太氏>

ドラギ総裁の会見自体にはそれほどのサプライズはなかった。ドラギ氏個人はどちらかというとハト派であり、先々の政策についても言及を避けた。ただ、ECBの中にはタカ派的な勢力もいて、綱引きが続いているという印象だ。政策変更が近づいているなかでユーロはどうしても上昇しやすく、ユーロ高トレンドはこの先も続いていくだろう。

2014年にユーロが大きく切り下がる前の水準は対円で140円台だった。すぐにその水準までいくとは思わないが、上昇するポテンシャルは秘めている。ドル/円に関してはドル安を受けて円高になってしまうところはある。ただ、ユーロ/円のインパクトは強く、欧州関連銘柄は物色されやすいので推奨するスタンスは変わらない。

ECBは資産買い入れプログラムの縮小に関する決定は10月になりそうだとの見方を示した。今月は連邦公開市場委員会(FOMC)も控えており、欧米での金融政策に関するイベントを通過するまでは、株式市場はリスクを落とす動きが出やすい。FOMCがバランスシート縮小、ECBがテーパリングとなったときに、金利がどう動くのかというのが一番見極めたいところ。緩やかな金利上昇は日本株にプラスだが、急激な上昇は売り要因となるだろう。

私たちの行動規範:トムソン・ロイター「信頼の原則」
0 : 0
  • narrow-browser-and-phone
  • medium-browser-and-portrait-tablet
  • landscape-tablet
  • medium-wide-browser
  • wide-browser-and-larger
  • medium-browser-and-landscape-tablet
  • medium-wide-browser-and-larger
  • above-phone
  • portrait-tablet-and-above
  • above-portrait-tablet
  • landscape-tablet-and-above
  • landscape-tablet-and-medium-wide-browser
  • portrait-tablet-and-below
  • landscape-tablet-and-below