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ECB理事会後のラガルド総裁発言要旨

[フランクフルト 22日 ロイター] - 欧州中央銀行(ECB)は22日の理事会で、先行きの政策指針である「フォワードガイダンス」を変更した。今月上旬に打ち出した新戦略に対応するもので、物価の一時的な上振れを容認する。また、景気の下支えに向け大規模な金融緩和の継続を約束する一方、インドで最初に検出された感染力の強い新型コロナ変異ウイルス「デルタ株」が回復のリスクになっていると警告した。

欧州中央銀行(ECB)は22日の理事会で、先行きの政策指針である「フォワードガイダンス」を変更した。写真はラガルドECB総裁。昨年3月、フランクフルトで撮影(2021年 ロイター/Kai Pfaffenbach/File Photo)

理事会後のラガルド総裁の記者会見での発言は以下の通り。

<インフレ予想>

来年、再来年のインフレ率について私は予想しない。

欧州連合(EU)のフォンデアライエン欧州委員長に宛てた書簡で、住宅所有者にかかる住宅費を把握する取り組みを将来的に加速させるようEU統計局(ユーロスタット)に要請することを依頼した。

その間、われわれは利用可能な別の指標を用いてこのような費用を考慮する。この件についてはきょうの理事会でも議論した。

<パンデミック(世界的大流行)に対応しないとの選択肢はない>

反事実的に論証したい。もし中央銀行がこれまで実施してきたことを実施していなかったら、また、政府がパンデミック禍で活用する必要があった財政手段を活用していなかったら、どのような状況になっていただろうか。われわれの経済はどのように破滅していただろうか。どれだけ多くの人が失業していただろうか。これら全てが経済危機にどのようにつながっただろうか。

問題は「財政ファイナンスなのか?」ということではないと思う。われわれは条約によって保護され、各国政府も保護機能を持ち、それぞれの政策を保護するのに必要な新たな枠組みで迅速に行動することを望んでいる。しかし、われわれはやるべきことをやらなければならない。私の心のなかに疑問はない。

<パンデミック緊急購入プログラム(PEPP)終了は「絶対的に時期尚早」>

われわれは経済の全てのセクターにとって有利な資金調達条件を維持し、インフレの観点から実現したい目標に反する引き締めに抵抗することを検討している。

また、パンデミックによるインフレ目標への悪影響を軽減したいと考えており、これがPEPPの目指すところだ。

PEPPはパンデミック禍の緊急的な期間に向けたものだったが、今はまだ危機下にあり、だからこそPEPPは引き続き実施されている。

この点で、PEPPの終了は絶対的に時期尚早だと考えているが、われわれの目標はパンデミック前の時点に回帰し、当時のインフレ目標を達成することだ。

<利上げ>

われわれの政策金利は、十分に明確で持続かつ長期化するとの証拠が得られ、インフレ率が持続的に2%に達すると確信できる場合にのみ引き上げられる。

<フォワードガイダンス>

フォワードガイダンスには3つの重要な要件がある。

第1に、金融政策戦略に沿って、上下両方向(シンメトリック)な2%のインフレ目標を支援するものであること。上下両方向に2%を目標としていることを改めて確認する。このため、理事会はいかなる予測にも依存しない。

次に、ECBは展望期間終了後かなり先にインフレ率が2%に達すると予想している。

第3に、基調インフレを巡りこれまでに得られた進展は、中期的にインフレ率が2%で安定化することに十分に整合する。そして戦略見直しからの一文を付け加えたい。覚えているかもしれないが、これは、インフレ率が緩やかに目標を超える一過性の期間であることを示している可能性があるということだ。

これらの3点において、われわれは基本的にこうしたことを伝えている。

<PEPP>

危機からなお脱していないため、PEPPが維持されている。いかなる終了も全くもって時期尚早だと確信している。われわれの目標は、コロナ禍前の状況に戻ることだ。

<デルタ株のECB見通しに対する影響>

6月に公表したスタッフ予想は、感染拡大抑制策の一部が第3、第4・四半期まで継続されるとの見通しを一部含んでいた。つまり、われわれの予想に織り込まれている。

現在見られている全ての要素は、第2・四半期、および第3・四半期のわれわれの見通しを確認するものだ。

<2%目標の達成>

総合すると、ユーロ圏経済は力強く回復している。ただ、見通しは引き続き感染状況のほか、ワクチン接種の進展に依存している。

現在のインフレ上昇は、おおむね一過性のものとみられている。インフレ率はなおわれわれの目標を下回っている。改定後のフォワードガイダンスを含むわれわれの政策措置は、経済の堅調な回復と最終的な2%のインフレ目標達成の一助になる。

<金利>

金利に関するフォワードガイダンス修正を巡っては、全会一致ではなかったが、圧倒的多数で決定した。

<製造業、サービス業、デルタ変異株>

供給のボトルネックが短期的に生産の足かせとなるものの、製造業は堅調に推移すると予想する。

経済の大部分が再開され、サービス業の力強い回復を支援している。しかし、新型コロナウイルスのデルタ変異株がとりわけサービス業の回復を妨げる恐れがある。

<物価上昇圧力は抑制>

短期的に、経済に内在する大幅なスラック(緩み)が基調インフレ圧力を抑制する。需要拡大とサプライチェーン(供給網)における一時的なコスト面の圧力が物価に一定の上昇圧力を加えるが、賃金の弱い伸びや過去のユーロ高の影響を踏まえると、物価上昇圧力は当面、抑制される公算が大きい。

パンデミックによるインフレへの影響が解消されるまで、まだ時間がかかるだろう。

<良好な資金調達環境を維持>

ユーロ圏の景気回復は軌道に乗っている。ワクチンの普及が進み、大半の国々でロックダウン(都市封鎖)措置が緩和されている。しかし、パンデミックは依然、影を落とし、不確実性は高まっている。インフレは高まったが、上昇の大半は一過性と想定され、中期的なインフレ見通しは引き続き抑制されている。パンデミックが続く間、経済の全てのセクターに対する良好な資金調達環境を維持する必要がある。これは現在の回復を持続的な拡大に発展させ、パンデミックによるインフレへのマイナスの影響を相殺する上で不可欠だ。

<中期的なインフレ率>

金融政策に支えられた経済回復に伴い、インフレ率はなお目標値を下回っているものの、中期的には上昇すると予想している。

<経済回復が投資を支援>

域内および海外の持続的な需要回復が企業の楽観的な見方を後押しし、投資を支援している。銀行貸出調査では、パンデミック発生以降で初めて固定投資の資金調達が企業への融資需要を促進する重要な要因であることが示された。

<第3・四半期は力強く成長>

経済は第2・四半期に回復し、規制が緩和されたことで第3・四半期には力強い成長が見込まれる。

<インフレ見通し>

中期的なインフレ見通しは引き続き抑制されている。

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