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ECB理事会後のラガルド総裁発言要旨

[フランクフルト 8日 ロイター] - 欧州中央銀行(ECB)は8日、政策金利を0.75%ポイント引き上げ、一段の利上げの可能性を示唆した。

欧州中央銀行(ECB)は8日、政策金利を0.75%ポイント引き上げ、一段の利上げの可能性を示唆した。写真は同日、理事会後に記者会見するラガルド総裁(2022年 ロイター/Kai Pfaffenbach)

理事会後のラガルド総裁の記者会見での発言は以下の通り。

<米欧のインフレ対比>

米国のインフレは需要に大きく左右される。一方、ユーロ圏のインフレは供給要因が主体だ。

労働市場は、インフレがさらに拡大するリスクがあるかを判断する上で重要だ。米国では失業者数に対する求人数の高さが際立っており、「超過熱」とみられている。米国では失業者1人に対し求人は3件あるが、欧州では失業者1人に対し0.3件だ。欧米の状況はやや異なると言える。

<インフレは供給主導型>

インフレは依然として主に供給側の要因が大きい。金融政策でエネルギー価格を下げることはできない。金融政策は、われわれが真剣であることと、インフレ抑制に貢献するという強いシグナルを人々に与えるが、インフレの要因が主にエネルギー価格の急騰によるものであれば、それはECBの職務の範ちゅうではない。

<2%目標へのさらなるステップ>

中期的にインフレ率を2%に戻すために必要な措置を取っていく方針だ。もし一段と金利を引き上げる必要があれば、そうする。

われわれには目標があり、使命がある。信じられないほど高いインフレ率の数字がある以上、目標に達するまで行動を起こさなければならない。ECBがいかなる決定をしても、インフレ率を2%に戻すことに真剣であることを理解してもらいたい。

<2%目標への到達>

中立金利やターミナルレート(利上げの最終到達点)などに頭を悩ませているわけではない。確実に言えることは、2%の中期目標達成に向けて必要なステップを踏んでいくということだ。そのためには、数回の理事会が必要だと考えている。数回とは何回かと聞かれるかも知れない。今回を含めて2回以上だろうし、5回以下だろう。2回になるか3回になるか4回になるかは、皆さんの判断にお任せする。少なくとも、どれくらいの時間がかかるか大体の見当はついているはずだ。「旅の長さ」ということだ。

<TLTRO>

貸し出し条件付き長期資金供給オペ(TLTRO)は新型コロナウイルスのパンデミック(世界的な大流行)時に導入されたもので、金利がプラスに転じた今、運用の枠組みなどを見直す必要があることは明らかだ。

<ターミナルレート>

ターミナルレートは分からない。それは、近づいたときに決定するべきものだ。

<中立金利>

現時点で分かっているのは、現在地が中立金利ではないということだ。われわれはその方向に向かっている。早め早めの行動が必要だ。今後数回の理事会で、データに基づいて決定される規模とペースでさらなる利上げが必要だが、われわれは確実にその方向に向かっている。

<供給ショック>

もし大きな供給ショックに見舞われた場合、例えばガス価格が高騰し続けた場合など、われわれは景気後退につながる成長への影響とインフレへの影響の両方を考慮することになる。そしてその作業は、各回の理事会で順次行われることになる。

<為替レートは目標にしない>

われわれは、通貨バスケットに対して、特にドルに対してユーロが下落していることを指摘している。

インフレに遅れて影響を与えることは認識している。

しかし、われわれは為替レートを目標にしない。これまでもそうしてきたし、これからもそうすることはない。

<暗いダウンサイドシナリオ>

ベースライン(シナリオ)で23年のマイナス成長は予想していないが、われわれのダウンサイドシナリオでは、特にロシアのガス供給が完全に停止することを想定している。また、ユーロ圏全体が配給制になり、ガス供給不足と他の代替供給源との間の補償措置もないことを見込んでいる。アジアや他のガス生産国からの供給はなく、特にノルウェーや米国から調達できるLNGも考慮に入れていない。本当に暗いダウンサイドシナリオで、23年のリセッション(景気後退)につながるものだ。

<ECBは遅れているか>

昨年12月にパンデミック緊急購入プログラム(PEPP)と従来の資産購入プログラム(APP)の下での購入を停止すると決定した時点で始まった旅路の途上にあると指摘したい。

今回は単独の決定ではない。一段の利上げを実施していくということだ。0.75%ポイントの幅での利上げが普通であるかのように、このペースで利上げをしていくとは言っていない。そのようなことではない。

<決定は全会一致>

理事会は主要3政策金利の75ベーシスポイント(bp)引き上げを全会一致で決定した。さまざまな意見が出て徹底的に討議した結果、全員一致の決定に至った。

<ウクライナ戦争による成長へのリスク>

世界経済が減速する中、特に短期的に成長に対するリスクは主に下向きだ。

スタッフ予測における下方シナリオに反映されているように、ウクライナでの長期にわたる戦争は、特に企業や家計がエネルギー供給の問題に直面した場合、引き続き成長に対する大きなリスクとなる。こうした状況では信頼感は一段と悪化し、供給サイドの制約が再び悪化する可能性がある。

<財政支援は焦点を絞る必要>

エネルギー価格上昇の影響を緩和するための財政支援策は、インフレ圧力が増大するリスクを抑え、公共支出の効率を高め、債務の持続可能性を維持するために、最も脆弱な家計や企業を対象とした一時的なものである必要がある。

<今後さらに利上げ>

インフレ率は極めて高い水準にとどまり、われわれの目標を長期にわたり上回ると予想され、今後数回の理事会で一段の利上げを予想する。

<インフレは依然上昇>

8月のユーロ圏消費者物価指数(HICP)速報値は前年比上昇率が9%を超えた。経済再開を受けた一部セクターでの需要圧力、供給の目詰まりがインフレを押し上げている。

<エネルギー価格の影響>

エネルギー価格高騰は購買力を弱めている。供給の目詰まりは是正されつつあるが経済活動を制約している。さらに、地政学要因、特にロシアの正当化できないウクライナ侵攻は企業や個人の信頼感を圧迫している。

<景気は減速へ、雇用に陰り>

年末にかけて景気が大幅に減速すると予想する。その主因は4つある。

まず高インフレが支出や生産を抑制する。こうした逆風はガス供給の混乱によって強まっている。

第二に、経済再開に伴うサービス分野の力強い需要回復が今後数カ月で勢いを失うと予想される。

第三に、主要国の多くが金融引き締めを実施する中での世界的な需要減退、交易条件悪化はユーロ圏経済への支えが弱まることを意味する。

第四は、不確実性がなお高く、信頼感が急低下していることだ。

今後、経済が減速するに伴い失業率がやや上昇することが予想される。

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