[フランクフルト 31日 ロイター] - 欧州中央銀行(ECB)のシュナーベル専務理事は31日、新型コロナウイルス危機により、当初は金融政策と無関係に見える問題でも中央銀行が大きな役割を果たすべきであることが示されたとし、気候変動についても同様のことが言えるとの認識を示した。ロイターのインタビューに応じた。
同専務理事は「気候変動はわれわれが直面する課題で最も重大なものだ。おそらく新型コロナよりもはるかに大きい」と指摘。「新型コロナも、当初は金融政策と全く無関係だったが、最終的には金融政策と密接な関わり合いを持つに至った。同じことが気候変動にも言える。これが、中銀が気候変動を無視できないと考える理由だ」と述べた。
同専務理事は、監督当局を通じて金融機関に気候変動リスク評価を求めるほか、欧州連合(EU)に対し、進展が遅れているEU資本市場同盟(CMU)構想に気候変動に配慮する要素を付加するよう要請するべきとの考えを示した。グリーンファイナンス(環境に良い効果を与える投資への資金提供)に焦点を当てることは、EU資本市場に競争上の優位性を与えるとした。
同専務理事は以前、ECBがグリーンボンド(環境改善効果のある事業の資金調達のために発行する債券)の買い入れに傾斜することに懐疑的な見方を示していた。これについて同専務理事は「ECBは市場の中立性を重んじるべきとの見方もある一方、市場は気候変動リスクを適正に織り込んでおらず、ゆがみが存在するため、中立性は厳密には正しい指標ではない可能性があるとの見方もある」と述べた。
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