[パリ/フランクフルト 11日 ロイター] - 欧州中央銀行(ECB)理事会メンバーのビルロワドガロー仏中銀総裁は11日、ECBは資産や担保の適格要件やウエート付けで気候リスクを考慮に入れるべきだと指摘した。気候変動は物価を押し上げると同時に景気を冷え込ませるスタグフレーション的効果を持ち、ECBの物価安定目標を揺るがす恐れがあるため。
総裁は、ECBの買い入れ資産の大半を占める国債を一律に扱うべきでないと述べた。
気候リスクを考慮することは、流動性供給時に銀行が担保として差し入れる資産の価値の調整に反映させることで可能と指摘。
社債については、パリ協定に沿って気候変動問題に取り組む企業の社債の買い入れを増やし、そうでない社債の買い入れを制限すべきと述べた。
ラガルド総裁やシュナーベル専務理事は、市場は気候リスクを適切に織り込んでいないと指摘し、ECBは特定の資産を志向しない市場中立性の方針を見直すべきとしている。
また、理事会メンバーのクノット・オランダ中銀総裁は「炭素排出量の相対価格がゆがめられているために欧州の資本市場にバイアスがあれば、この中立性はどのような意味を持つだろうか」と述べ、ラガルド氏などに同調。ECBは市場のバイアスを防ぎ、グリーン投資をさらに促すため金融政策を再設計する方法を探るべきと述べた。
*内容を追加しました。
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