November 13, 2015 / 4:57 AM / 4 years ago

コラム:日本の成長力高める「3つのキーワード」

[東京 13日 ロイター] - 日本の成長力を高めるキーワードは、電子商取引(eコマース)・自動運転・ドローン(小型無人機)の3点セットだ。この3つに関連した設備投資が増加し、規制緩和も実行されれば、関連する分野に需要増が波及し、全く新しい経済の連関が生み出される。

 11月13日、日本の成長力を高めるキーワードは、電子商取引(eコマース)・自動運転・ドローン(小型無人機)の3点セットだ。写真はドローンを操作する男性、東京おもちゃショーで6月撮影(2015年 ロイター/Thomas Peter)

政府が5日の官民対話で打ち出した新技術支援や規制緩和は、掛け声だけでなく本当に実行された場合、多くの人々が目を見張るような現象が出てくるだろう。

<急成長するeコマース>

ネット通販などのeコマースが日本国内で拡大の一途をたどっている。経済産業省によると、2014年の消費者向けeコマースの市場規模は前年比プラス14.6%の12.8兆円。ただ、個人消費が約300兆円の規模である日本では、そのシェアは4%台にとどまっている。

一方、経済産業省によると、2014年の世界最大の消費者向けeコマース市場(旅行関連とイベントチケットは除く)は中国の4262億ドル。次いで米国の3056億ドル、英国の820億ドル、日本は708億ドル。

スマートフォンなどの普及により、日本でも消費者向けeコマースの市場規模はさらに拡大すると予想されており、一部のシンクタンクは2018年度に20兆円規模になると試算している。

eコマースは販売側にとって、メリットが多い。店を構えて商品を陳列して販売する場合に比べ、土地・建物の購入費や賃貸費、人件費を大幅にカットできる。利益率が既存の小売業よりもかなり高く設定することが可能になる。

また、利益率を下げて販売価格を引き下げ、「路面店」に対抗する手段も駆使できる。実際、ネット経由で購入する価格の方が安いと実感している消費者が多く、その面でもeコマースが拡大する要因になっている。

<増加基調の物流関連設備投資>

そこだけを見ていると、既存の小売業の脅威になるという面にばかり目が向きがちだが、eコマースの拡大には欠かせないシステムがある。それは物流センターの存在だ。物流システム関連の設備投資が、足元で急速に増加する動きを見せている。

10月31日に新区間が開通した圏央道の沿線では、海外の物流大手も含め、物流施設の建設計画が相次いでいる。地価が安いうえに高速道の利便性を享受できるという立地面での優位性があるが、それだけでなくeコマース需要の拡大を見込んだ先行投資も数多く含まれているようだ。

少子高齢化による市場縮小を踏まえ、製造業の国内設備投資は勢いが回復しないが、成長が見込まれるeコマース分野に関連した設備投資は、今後も増加が見込まれる。特に物流関連は、今後の非製造業の設備投資の中で比重を高めていく可能性が高い。

だが、ここで大きな問題が前途をふさぐ形で出てくる。少子高齢化のもう1つの側面である労働力不足の問題だ。

配送に携わるスタッフの不足が、一部の企業では深刻化している。自動車の運転免許を持っていない女性には、自転車を使った配送を割り当て、その時給をかなり引き上げている例もあるようだ。

ただ、女性や高齢者の労働参加率の引き上げだけで、いずれ解決が難しくなる時が来るのではないか。その時に備え、ドローンによる配送システムや自動の自動車運転システムの実用化に向け、今から政府と民間が手を携えて行く必要がある。

<期待が集まる政府の規制緩和>

安倍晋三政権が進める「新3本の矢」には有識者からの批判も少なくないが、5日の官民対話で政府が打ち出した規制緩和の方針は画期的だ。2020年の東京五輪・パラリンピックに合わせ、自動運転サービスの提供を目標に掲げ、17年度までに公道での実験が可能になるように法令の整備を進めることにした。

また、ドローンの活用に向け、官民の協議会を設置し、2016年夏までに制度作りを進める方針も決めた。

新技術の実用化には、民間側の積極的な研究・開発での取り組みが欠かせない。それに伴った設備投資も活発化するだろう。さらに自動運転技術では、人口知能など周辺のハイテク技術開発も促される。

こうした流れが加速していけば、人々の生活のパターンはガラリと変わっていくだろう。個人の時間がより有効に活用できるなら、マクロ経済的には潜在成長率を上げることにもつながる。

eコマースを起点にした大変革は、「日本版の新産業革命」につながる力を秘めていると指摘したい。

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