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アングル:景気悪化なら追加対策も、諮問会議の民間議員 米中リスク警戒

[東京 28日 ロイター] - 経済財政諮問会議(議長、安倍晋三首相)の民間議員は27日、米中貿易摩擦の影響などが好調な内需を下押ししかねないとし、機動的なマクロ経済政策を実行するよう訴えた。追加の経済対策を念頭に置いた主張とみられる。政府内には「前のめり」の財政拡大に警戒する声がある一方、補正予算などの編成ではなく、消費増税の延期を期待する声も与党内にはあり、逆風が吹き始めた世界経済の動向次第で、大きく状況が変化しそうだ。

 3月27日、経済財政諮問会議(議長、安倍晋三首相・写真)の民間議員は、米中貿易摩擦の影響などが好調な内需を下押ししかねないとし、機動的なマクロ経済政策を実行するよう訴えた。1月に東京で撮影(2019年 ロイター/Issei Kato)

民間議員が提出した「国際経済の変動に強い経済構造の構築に向けて」と題した資料では、英国の欧州連合(EU)からの離脱を巡る不透明感に加え、米中の貿易協議がなお解決しない現状に危機感を示した。

具体的には、海外発の景況感の急変には注意が必要と警鐘を鳴らし、さらにリスクが顕在化する場合には「賃金上昇・可処分所得の拡大、設備投資の増加につながる機動的なマクロ経済政策を躊躇(ちゅうちょ)なく実施すべき」と訴えた。

内閣府幹部は「追加対策などの具体的な言及はなかった」とするが、追加の財政出動の必要性に言及したとみられる。

民間議員が財政出動を念頭に置いた提言を示したのは、今回が初めてではない。1月30日の諮問会議でも「中長期の経済財政運営に向けて」と題した資料の中で、「柔軟で機動的な対処が求められる」と明記した。

ただ、前回より警戒の度合いが強まっているのは明らかで、市場では「景気の落ち込み次第で、10月の消費増税前に追加の経済対策を打つのではないか」(国内大手銀関係者)との見方が出ている。

安倍晋三首相自らが「最大の経済対策」と位置付けた2019年度予算が27日に成立した同じ日に、官邸の意向を「先取り」するとの傾向が政府・与党関係者から指摘されている民間議員が提言した内容について、無視できないとの見方が永田町で広がっている。

ただ、政府内には「せっかく増税前後の平準化対策を打ったのに、追加対策で景気の『山』を作っても仕方ない」(政府関係者)と、一段の財政拡大の動きをけん制する声もある。

28日の日経平均.N225は前日比300円を超える下落となり、2万1000円をめぐる攻防となっている。与党内には、安倍首相の決断次第では、10月の消費増税引き上げの延期もあるのではないかという思惑がくすぶっている。

予算案の効果を見守るか、補正などの追加財政措置を早期に取るのか、消費増税自体をやめるのか、その帰すうは世界経済の動向と安倍首相の判断にかかっている。

マクロ経済取材チーム 編集:田巻一彦

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