[東京 6日 ロイター] - 一橋大学が調査会社大手のインテージ などと組んで、消費動向を示す新指数を開発した。データは7月31日から暫定的に公表され、消費増税前の駆け込み需要の反動で低迷していた消費が、7月後半からプラス圏に浮上してきたことが明らかになった。
「一橋大学消費者購買指数」(仮称)と名付けられた新指数では、インテージが集計した全国4000店舗のスーパーやコンビニ、ドラッグストアの小売(POS)データから、1)総販売額、2)対象商品の物価指数、3)販売数量指数、4)販売に占める新製品の投入効果について指数を作成。さらに、それぞれの指数を異なる業態(大手量販(GMS)、スーパー、ドラッグストア、コンビニ)ごとに表示しているのが特徴だ。
一橋大は、今秋からの正式公表を目指し昨年末から開発に着手。7月末から一橋大学経済研究所のホームページ上で試験的に公開を開始した。
この新指数のデータによると、毎週の販売額は3月最終週に前年比20%上昇した後、マイナスが続いてきたが、7月第3週にようやく上昇に転じた。
既存製品の販売は、相変わらず前年比マイナスだが、新製品の売り上げが伸び、差し引き前年比1.8%のプラスとなった格好だ。
6日にロイターのインタビューに応じた同研究所の阿部修人教授は「駆け込み需要の発生が3月下旬の短い時期に限られた割には、回復が遅い」と指摘する。
物価指数に関しては、3月31日から始まった4月第1週に前年比0.26%の上昇となったが、その後は緩やかにプラス幅を縮小。直近の7月第3週は、0.04%のマイナスに転じた。
また、7月第3週における業態別の動向では、ドラッグストアが前年比0.49%下落した一方、コンビニは同0.39%上昇した。「値引き販売をしないコンビニでの物価指数が、消費増税後0.4%前後の上昇幅で安定している一方、他の業態では特売によって価格が下落している」(阿部教授)という。
阿部教授は、日銀が金融政策運営の目安としている消費者物価指数(CPI)は、特売価格を反映しないため、コンビニの価格動向をみる限り、あまり下がらないだろうとみる。
このように新指数では、特売を行う大手スーパーと定価販売を続けるコンビニエンスストアの販売価格動向が、並行して確認できる特徴があり、アベノミクスのカギである物価動向把握に広く参照される可能性がありそうだ。
同指数が掲載されているホームページはこちら。
here (竹本能文 編集:田巻一彦)
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