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UPDATE2: 10─12月期生産は過去最大の落ち込みになる可能性、迫られる政府・日銀一体の政策対応

 *与謝野経済財政担当相の会見での発言内容やエコノミストのコメントなどを追加し、

再構成しました。

 [東京 28日 ロイター] 経済産業省が28日発表した10月鉱工業生産指数速報

(2005年=100、季節調整済み)は前月比マイナス3.1%の102.3と2カ月

ぶりに低下した。さらに11月がマイナス6.4%、12月がマイナス2.9%とこの先

の予測指数も大幅に下がっており、10 12月期生産は過去最大の下げ幅になる公算が

大きい。世界経済の大幅な減速がついに日本にも波及してきたことがはっきりし、この先

の国内経済は大幅な落ち込みを覚悟しなくてはならない危機モードに直面した。与謝野馨

経済財政担当相も28日の会見で景気は楽観できないと指摘、日銀もこの大幅な生産の落

ち込みを注視するとみられる。政府・日銀一体となった政策対応を迫られる可能性が大き

くなってきたとの声が、市場の一部から出ている。

 10月生産では、ロイターの事前予測調査が前月比マイナス2.5%と予想していたが、

結果はさらに下回った。最も衝撃的だったのは、11月の予測値だ。マイナス6.4%

は、経済産業省が統計を取り始めた1973年5月以来、最大のマイナス幅となった。

 同省は、11月と12月の鉱工業生産見通しが実現した場合、10─12月期の生産指

数は97.0となり、03年10─12月期(96.5)以来の低水準に落ち込み。前期

比ではマイナス8.6%になると説明する。この数字は、第1次オイルショックの後遺症

に悩まされた1975年1─3月期(マイナス6.7%)を上回る過去最大のマイナス幅

となる。10─12月期も低下となれば、4四半期連続で、ITバブル崩壊時(2001

年1─3月期から4四半期連続で低下)以来の長期低下局面となる。

 <需要減で在庫指数は過去最高水準に>

 経済産業省は生産の基調判断を「低下傾向」として、これまでの「緩やかな低下傾向」

から下方修正した。下方修正は2カ月連続。「低下傾向」との表現は、直近の景気の谷だ

った2002年1月以来という。

 10月の生産指数は06年2月の101.9以来の低水準となった。業種別にみると、

輸送機械、電子部品・デバイス、一般機械などが生産低下に寄与した。輸送機械は国内外

で減少。特に乗用車は北米、中東、欧州向けが減少した。電子部品・デバイスも国内外向

けの携帯電話、ゲーム向けが減少。一般機械は、軸受が海外自動車生産向け、半導体電子

部品が特に東アジア向けが減少した。

 鉱工業出荷指数は前月比3.1%低下、在庫指数は同1.7%上昇した。在庫指数が1

09.4、在庫率指数が112.4となり、ともに05年基準で最高の水準となった。

 在庫上昇には、液晶テレビやビデオカメラなど情報通信機械、電子部品・デバイス、は

ん用内燃機関など一般機械などが寄与した。

 同省によれば、総じて出荷減少が在庫押し上げの主因になったという。鉱工業製品全体

の出荷・在庫バランス(出荷の前年比マイナス在庫の前年比)をみると、10月はマイナ

ス11.7%と、9月のマイナス3.8%からマイナス幅が拡大、在庫調整圧力の拡大が

示された。 

 製造工業生産予測指数をみると、11月の低下に寄与するとみられるのは輸送機械、一

般機械、電子部品・デバイスなど、12月の低下に寄与するとみられるのは輸送機械、電

子部品・デバイス、鉄鋼など。同省では、国内外での需要減退が生産低下見通しの主因と

指摘した。 

 10─12月期の生産急減の主役は、輸送機械、電子部品デバイスなど輸出関連。外需

回復のメドが立たない中で、ともに在庫調整局面にあるためだ。

 <過去にない大幅な生産調整>

 マーケットの受け止め方も厳しさが増してきた。カブドットコム証券・投資情報局マー

ケットアナリストの山田勉氏は「10月の前月比は事前の市場予測を下振れた上、11月

と12月の予測値がともにマイナスとなっており、リーマン・ブラザーズLEHMQ.PKの破

たん以来、米国を中心として世界的に生産や設備投資に急ブレーキがかかったままである

ことを裏付けている」と指摘した。

 また、エコノミストからは「過去の生産調整局面にみられない規模の大幅な生産調整と

なる。08年10月以降、日本の製造業は過去に経験したことがない減産圧力に直面して

いることに間違いない」(マネックス証券・チーフエコノミストの村上尚己氏)、「年末

から年初にかけての生産の落ち込みは、未曾有のペースに達する」(野村証券・金融経済

研究所・チーフエコノミストの木内登英氏)など、強い危機感がにじみ出ている。

 BNPパリバ証券・エコノミストの加藤あずさ氏は、外需の下落圧力が大き過ぎて、減

産が追いつかない状況にあると指摘。今後のさらなる外需悪化に加え、在庫調整による生

産下押し圧力も加わり、さらに雇用悪化・賃金低下によって消費を始めとする内需の悪化

も想定されるとした。こうした点を踏まえ、同氏は生産が前期比プラスに戻るのは「来年

7─9月期」と予想した。

 木内氏も「金融危機に伴う世界経済への悪影響がやや一巡することと、国内財政出動及

び米国・中国を中心とする海外での財政出動の影響から、09年7─9月期には、一時的

に増加に転じる可能性を見ておきたい」としたが「その後は再び下落基調に戻り、201

0年前半までは緩やかながらも下落基調が続く」と予想した。

 来年7─9月期に生産がプラス転換したとしても、生産は6四半期連続で低下すること

になる。バブル経済崩壊後にみられた過去最長の7四半期連続低下(1991年4─6月

期から92年10─12月期まで)に迫るものになる可能性が強まってきた。

 <注目される政策対応>

 この結果を踏まえ、与謝野担当相は「これから来年にかけて、楽観できるような状況で

はない」と指摘。さらに世界的にデフレ的影響がこれから出てくる可能性があると言及し

た。その上で年末にかけて政府・日銀は中堅・大企業の資金繰りに配慮していくと述べ、

政府・日銀が一体となってこの先の景気状況を注視し、対応していくスタンスを示した。

 日銀の金融政策スタンスをウォッチしているある市場関係者は「生産の落ち込み幅が予

想以上に大きく、日銀の想定を超えている可能性が高い。利下げ余地は限られているもの

の、日銀が何らかの政策対応を検討するのは間違いないだろう」と述べる。

 東海東京証券・チーフエコノミストの斎藤満氏は「かつてない生産の落ち込みであり、

政府が2次補正予算を来年に提出するという状況下では、日銀の金融政策にしわがよる可

能性も捨てきれない。金融政策に偏った政策対応は問題が多いが、生産の落ち込みが示す

経済の悪化状況は相当に深刻だ」と指摘している。

 10月生産指数は以下の通り:

(2005年=100)

       指数    前月比    (%、季節調整済み)  

─────────────────────────────────

 生産   102.3   ‐3.1   

 出荷   102.0   ‐3.1

 在庫   109.4   +1.7    

 在庫率  112.4   +3.8

 製造工業生産予測指数 (前月比%)

     11月  ‐6.4%

     12月  ‐2.9%

 *過去の関連記事は[JPIP1=ECI][JPIP4=ECI]でご覧になれます。

 *経産省の発表資料は以下のURLでご覧ください。

  here

 (ロイター日本語ニュース 児玉 成夫記者、編集:田巻 一彦)

(shigeo.kodama@thomsonreuters.com;03-6441-1836;ロイターメッセージング:

shigeo.kodama.reuters.com@reuters.net)

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