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焦点:羽田ハブ化とJAL再建案、全日空と国際線統合の観測も

 [東京 15日 ロイター] 前原誠司国土交通相による羽田空港の国際ハブ(拠点)空港化発言が波紋を呼ぶ中、日本航空(JAL9205.T)再建の特別チーム「JAL再生タスクフォース」が巨額の債権放棄を金融機関に要請する再建素案を提示した。

 10月15日、羽田ハブ化とJAL再建案をめぐりJALと全日空による国際線統合の観測も。写真は羽田空港を離陸するJAL機。9月撮影(2009年 ロイター/Toru Hanai)

 表面上はばらばらに見える2つの動きだが、JALを解体して国際線部門を全日本空輸9202.Tに統合させるシナリオへ政府と関係者が布石を打ち出した可能性も浮上。航空行政の大転換につながる展開も予想される。

 複数の関係者によると、旧産業再生機構出身でタスクフォースのサブリーダーとなった冨山和彦・経営共創基盤代表取締役は、従来からアジアで生き残る巨大航空会社(メガキャリア)は5社程度になるが持論だという。その関係者は「日本の航空会社の中で1社でいいからメガキャリアとして生き残らせるためには、JALの国際線をANAに引き取らせるのが一案。その際、嫌がる全日空に(この案を)飲ませるには、全日空が切望しているオープンスカイ・羽田国際化とパッケージディールとすることが必要とみている」と話す。

 実際に「欧州・米国の航空業界はそれぞれ大手3社体制に集約された中で、日本国内でサービスも利用者層も重なるJAL・全日空の2社が共存できるとは考えにくい」(航空アナリストの杉浦一機氏)とみる専門家は多い。

 だが、現時点で全日空はJALとの何らかの統合については消極的とみられる。2005年に中部国際空港が開港した際に地上業務の合弁企業を設立したが、JAL側の業務が非効率的だったため、わずか2年で合弁を解消した経緯がある。その上、「JALの人は自分たちは全日空よりも優秀だという自負があり、両社統合の難しさは、みずほフィナンシャルグループ設立の比でない」(慶応義塾大学商学部の中条潮教授)とみられるからだ。

 国家間の協定ではなく航空需要に合わせて航空会社が自由に路線を決める「オープンスカイ」や羽田国際化をなぜ全日空が希望しているか──。背景には、国際線参入が遅れた全日空が、成田空港発着枠でJALと格差が付いているという事情がありそうだ。全日空の年3万5000回程度に対し、JALは同5万2000回と大きく差をつけており、全日空にとって自由化や羽田の国際化による国際線の発着枠の拡大は、将来の成長にとって欠かせない手段になっていた。

 一方、成田で総発着枠30万回のうち4分の1に相当する既得権益を保有するJALは、成田を拠点空港と位置付け、格納庫などに多額の設備投資をしてきたこともあり、オープンスカイ・羽田国際化に消極的だった。

 また、別の関係者によると全日空は、年金債務など財務的な負の遺産(レガシーコスト)が一掃された状態でなければ、JALの再建に一切関与したくないとの姿勢を取っているという。JALは3300億円の未認識年金債務があるとされ、年金改革による債務の整理が待ったなしだが、今春の会社側による支給額半減の通達以降、OBからの反発が強く、実現は極めて不透明な状態。「法的整理で会社をゼロにしなければ解決できない」(中条慶応大教授)との意見もある。

 その中で、13日にタスクフォースがまとめた3000億円規模の債権放棄(債務の株式化含む)案は、今年6月に総額1000億円融資したばかりの主力4金融機関などにとって容易に承諾できる中味ではなく「協議がまとまらなければ、自然に法的整理となる」(タスクフォース関係者)公算が大きい。

 タスクフォース側が、意図的に高い球を投げて法的整理によるJAL解体を加速させる狙いがあるのではないかとの観測も出ている。冨山氏をよく知る産業再生機構OBも「最終的には相当ドラスティックな結末となるだろう」と予測する。

 当面は、複雑に絡み合った関係者が、再建案にどのような対応をするかが焦点になる。

(ロイターニュース 竹本 能文記者、布施 太郎記者;編集 田巻 一彦)

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