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コラム:中南米のポピュリズム、ひとまず歯止めでも予断許さず
2017年2月23日 / 05:46 / 9ヶ月後

コラム:中南米のポピュリズム、ひとまず歯止めでも予断許さず

[ニューヨーク 22日 ロイター BREAKINGVIEWS] - 中南米ではまたしても、ポピュリズム(大衆迎合主義)をひとまず阻止する動きが見られた。今回はエクアドルだ。

 2月22日、中南米ではまたしてもポピュリズム(大衆迎合主義)をひとまず阻止する動きが見られたが、今回はエクアドルだ。写真は、同国で左派政権を率いるコレア大統領。首都キトで撮影(2017年 ロイター/Mariana Bazo)

左派政権を率いるコレア大統領が後継者に定めたレニン・モレノ氏は大統領選第1回投票で、勝利できなかった。得票率第2位で、現実路線と企業寄りの姿勢を掲げるギジェルモ・ラソ氏が4月2日の決選投票に進む道が開かれた。ラソ氏が当選して政策が実現するという条件付きとはいえ、投資家や現政権で不遇をかこつ人々には朗報と言える。

コレア氏が進めてきた貧困解消政策は長らく効果を発揮してきたが、最近は原油価格下落のために支障をきたしている。また統治手法は強権的な側面が強まるばかりだ。銀行員だったラソ氏は、もし決選投票を制したならば、減税と外国からの投資呼び込みで経済をテコ入れするだろう。世界銀行の見積もりでは、エクアドルの昨年の成長率はマイナス2.3%だった。

アルゼンチンではマクリ大統領が、前任のフェルナンデス氏が行った持続不能な大盤振る舞いを抑えるという似たような取り組みに精を出している。ペルーのクチンスキ大領領、ブラジルのテメル大統領の政策も同じ性格を持つ。

ただこれらの市場重視・現実主義の指導者らが直面する成長回復という課題は生易しくはない。例えばブラジルは年金制度改革、アルゼンチンは補助金削減が求められている。いずれも政治的には不評で、すぐに成果が見えなければ、世論調査や街頭で国民からの反発にさらされる公算が大きい。政策が失敗すれば、トランプ氏を米大統領に押し上げたような感情的なナショナリズムを助長する恐れがあり、中南米全域で既にさまざまな形の不穏な兆候が見えている。

メキシコでは、トランプ氏の登場が左派野党指導者ロペス・オブラドール氏を勢いづかせている。世論調査で、オブラドール氏は来年の大統領選レースで支持率首位に立つ。多くの国民には、トランプ氏のメキシコ批判に対して与党が弱腰だと見えるからだ。

オブラドール氏は最近になって過激姿勢を和らげたとはいえ、国内石油セクターの対外開放を好ましく思っておらず、その是非を国民投票に付すと表明している。

一方、アルゼンチンは先月に移民規制を厳格化し、罪を犯した外国人を強制送還しやすくした。チリの来年の大統領選の有力2候補はともに、中南米地域の標準に比べて反移民の色合いが濃い立場を打ち出している。

まさにトランプ氏的なこれらのやり方が中南米に拡散すれば、そうでない場合に地域として近視眼的な経済ナショナリズムとは一線を画す道を世界に示して称賛を得られるはずの、せっかくの機会が台無しになるだろう。

●背景となるニュース

*エクアドルでは4月2日に大統領選の決選投票が行われる。与党候補のレニン・モレノ氏と、元銀行員のギジェルモ・ラソ氏が対決する。選挙管理委員会が21日明らかにした。

*モレノ氏は19日の第1回投票で勝ちきるには有効票に対する40%の得票率と、2位に10%ポイント以上の得票差を付けることが必要だったが、開票率95.3%の段階で得票率は39.21%にとどまった。

選挙管理委員会のフアン・パブロ・ポソ委員長は記者団に対して、正式決定は開票作業完了を待つ必要があるとしながらも、決選投票は避けられないとの見通しを示した。

*筆者は「Reuters Breakingviews」のコラムニストです。本コラムは筆者の個人的見解に基づいて書かれています。

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