[シンガポール 25日 ロイター] - 世界の海上輸送の要衝であるエジプトのスエズ運河で座礁した大型コンテナ船を移動させる作業は25日も続けられ、スエズ運河庁によると、タグボート8隻での離礁作業が進めらている。しかし復旧のめどは立っておらず、作業に当たるオランダ企業ボスカリスは「状況次第では数週間かかる可能性も排除できない」と明らかにした。
座礁した「エバーギブン」(全長400メートル、総トン数22万4000トン)はこの24時間でわずかに位置を変えたにすぎず、なお運河をふさいでおり、南北両方向とも通航できない状態となっている。
運河庁は25日、運河内の全ての船舶の航行を停止した。船舶追跡ソフトウエアによると、石油、天然ガス、穀物などを積んだ206隻の大型タンカーやコンテナ船、ばら積み船などが南北の入口周辺で足止めされており、過去数年で最悪の渋滞が発生している。
コンテナ船世界最大手のマースクは同社が運航する7隻が影響を受けていると明らかにした。
コンサルティング会社ウッド・マッケンジーによると、計87万トンの原油や67万トンの石油製品を積載したタンカー16隻に影響が及んでいる。
INGのシニアエコノミスト、ジョアナ・コニングス氏は、スエズ運河の航行遮断による物流停滞によって、すでに圧力にさらされているサプライチェーンはさらに混乱を来すとの見方を示した。
海運サービス会社GACは顧客向けリポートで、タグボートによりエバーギブンを移動させる取り組みが続いているが、風の状態と船体の大きさが「作業の妨げになっている」と指摘した。
専門家によると、24─48時間以内に復旧しなければ、一部の海運会社はアフリカ南端を回るルートへう回せざるを得なくなり、その場合は航行が1週間程度伸びる可能性がある。
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