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情報BOX:エルサルバドルがBTCを法定通貨に、暗号資産への影響は

[ロンドン 10日 ロイター] - 中米エルサルバドルは、世界で初めて暗号資産(仮想通貨)のビットコインを法定通貨に採用することを決めた。ブケレ大統領は、海外在住の国民が自国に送金する際にビットコインが役立つと強調している。

 6月10日、中米エルサルバドルは、世界で初めて暗号資産(仮想通貨)のビットコインを法定通貨に採用することを決めた。写真はエルサルバドルのチルティウパンで、取引の仕方を説明する、ビットコインのサポートオフィスのスタッフ。8日撮影(2021年 ロイター/Jose Cabezas)

この決定が、主流通貨を目指すビットコインにもたらす意味と、他の新興国市場への影響をまとめた。

◎可決された法律の内容

エルサルバドル議会が今回可決した法律により、ビットコインはドルと同等の地位を得る。同国は20年前にドルを法定通貨に採用した。

ビットコインが法定通貨になるということは、店舗や企業が物やサービスの決済でビットコインを受け入れることを義務付けられる同時に、価格をビットコインで表示する選択肢が生まれるということだ。

税金もビットコインで収めることが可能だが、これは任意。

◎つまりビットコインはドル同様に使われるのか

そう断じるのは時期尚早だ。

ビットコインは12年前の誕生以来、価値が激しく変動してきた。1日の変動率が2桁台に達することもざらで、商取引には実用的でない。

世界でビットコインでの決済を受け入れる主要企業は増えているが、いまだに物やサービスの購入にはほとんど使われていない。

エルサルバドルは、ビットコインとドルの交換レートは市場で決まるとしている。しかしこれが実際にどのように機能するのか、業者や企業は価格をリアルタイムに反映させるのか、それとも別の仕組みを使うのかなど、詳細は示されていない。

政府は、国営の開発銀行に設けた1億5000万ドル(約165億円)の信託を通じ、決済時にドルとの交換性を保証するとしている。

◎ビットコインは真の通貨になったのか

ビットコインは通貨として設計されたが、多くの投資家はドルやユーロ、円に代わる通貨というよりは、金に近い資産だと見なしている。世界の金融監督当局や法執行機関は暗号資産の位置付けと、その監督方法を議論している。

エルサルバドルの法定通貨採用により、ビットコインが今よりも決済手段としての色彩を濃くするか、あるいはそれ自体が通貨の機能を持つようになるかどうかは、まだ分からない。

◎大きな潮流の始まりか

理論上、ビットコインは銀行などの伝統的な金融機関に頼らず、素早く低コストで海外送金を行える手段となる。

ビットコインの支持者らは、金融機関へのアクセスが不十分で送金手数料の高い新興国市場では、特にビットコインが広まりやすいと主張している。

しかし、新興国ではビットコインと自国通貨との交換を非公式のブローカーに頼る傾向があり、ノウハウが必要なほか、詐欺や価格変動に見舞われるリスクも付きまとう。

アナリストらは、エルサルバドルの決定を機にビットコインを法定通貨に採用する動きが広がるかどうかを判断するのはまだ早いとしている。

◎新興国での展開

アナリストにとってエルサルバドルの「実験」は、暗号資産の採用が1国の経済にどう影響するかを把握する初の機会となる。

暗号資産の利用が増えれば、金融政策の実効性が衰えるとの警告もある。

エルサルバドルは既にドルを法定通貨に採用しているが、「ドル化」の瀬戸際にある他の新興国では、暗号資産の利用がその流れを増幅させ、中央銀行の「最後の貸し手」機能を損なう恐れがある。

インフレの可能性も注目されている。

他の多くの暗号資産と同様、ビットコインはインフレへの影響を和らげるために供給が制限されている。しかし専門家は、暗号資産を巡るビジネスチャンスが増えれば新たな暗号資産の誕生に拍車がかかり、供給制限も無くなってインフレをもたらしかねないと見ている。

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