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焦点:都議選の自公過半数割れ、五輪無観客に現実味 政権運営厳しく

[東京 5日 ロイター] - 4日に投開票が行われた東京都議選で自民・公明両党は目標としていた過半数の議席を獲得できなかった。五輪無観客を訴えた都民ファーストが善戦したことから、与党幹部からも無観客を望む声が出ており、8日にも開かれる5者協議での観客上限判断に影響を与えそうだ。党内調査を大幅に下回る結果となったことに自民党は危機感を強めており、ワクチン問題も再燃するなか、菅政権は難しい政権運営を迫られそうだ。

東京都議選で自民・公明両党は目標としていた過半数の議席を獲得できなかった。五輪無観客を訴えた都民ファーストが善戦したことから、与党幹部からも無観客を望む声が出ている。写真は4日、都内で撮影(2021年 ロイター/Issei Kato)

<自民は事実上の敗北、五輪無観客に支持>

東京都議選は、自民党が選挙前の25議席から33議席に大幅に議席を伸ばしたが、過去2番目の低水準に留まった。自公でも56議席にとどまり、過半数の64議席を獲得する見通しを示していた自民党の内部調査や報道各社の世論調査の数字に届かなかった。公明党は全23候補が議席を獲得しており、自民党内では事実上の敗北と受け止められている。

菅義偉首相は5日、官邸で「自公で過半数を実現できなかったことは謙虚に受け止めたい」と述べた。「要因はいろいろあろうかと思うが、(自民党)都連と党本部が連携して、冷静に分析し次に備えたい」と語った。

敗因について、ある自民党幹部は、告示前に過労で入院した小池百合子都知事に対する「同情票と、都民ファーストが五輪無観客を打ち出したことが浮動層を動かした」と指摘。自民の調査では浮動票を測り切れなかったと分析する。自民党の内部調査では、自民は45─53議席、都民ファーストは5─16議席などと見られていた。五輪無観客路線が一定の支持を得た格好で、「五輪は無観客の流れ。まずは飲食店の営業時間が終了した後の夜間の無観客は必要」と同幹部は指摘する。

実際、4日のNHK番組で、自民党の鴨下一郎・東京都連会長は「五輪はこれからの感染状況のなかで無観客の選択もあるのだろう」と発言。公明党の石井啓一幹事長は「政府は無観客も真剣に検討してほしい」と求めた。

加藤勝信官房長官は5日の記者会見で、「そうした声も聞きながら五輪観客は(8日予定の政府や東京都、国際オリンピック委員会などによる)5者協議で判断されることになる」と述べた。

<解散は補正後か>

都議選の衆院選への影響については見極めが難しい。都民ファーストの議席数は31と自民想定や世論調査の予想を大きく上回ったものの、選挙前の45議席と比べれば大幅減だ。都民ファーストは国政政党でないため、小池人気の衆院選に対する直接の影響は見えない。都議選で共に議席を伸ばした共産党と立憲民主党は、選挙協力が奏功した格好。衆院選に向けても協力が加速する公算が大きいが、自公政権を揺るがすインパクトを予想する声は現時点で少ない。

その中で注目されるのが菅首相の政権運営だ。「感染拡大やワクチン不足などの悪材料で、時間がたつほど状況は悪くなる」(与党関係者)ため、菅首相はパラリンピックが閉会する9月5日以降、早期に臨時国会を開き、補正予算を成立させて、衆院解散に踏み切るとの見方が与党内で出ている。

すでに補正予算は20─30兆円程度必要との声が与党内では浮上している。ただ9月に成立しても「国民が恩恵を享受するのに時間がかかれば(衆院)選挙への影響は未知数」(与党関係者)との声も出ている。

<コロナ次第で菅おろしも、有力候補不在>

長引くコロナ禍で自民党に対する世論の受け止めは厳しい。今年4月に行われた3つの国政選挙で自民党は「全敗」した。今回の都議選でも、多くの選挙区で自公候補が最下位を奪い合った格好で、立憲民主党関係者は「自民党の不人気は想像以上だった」と指摘する。

さらに足もとではワクチンの供給不足問題が再燃している。政府は6月末、職域接種の新規受付を一時停止。自治体向けワクチンも、供給量が希望量の3分の1にとどまり、希望量の配送ができないと、河野太郎担当相が2日の記者会見で述べている。

政治とメディア論に詳しい立教大の砂川浩慶教授は「無観客五輪で日本人の金メダルが多数出ても、菅首相の支持率回復に寄与するとは考えにくい」とみる。4月の国政選挙に次ぐ都議選の敗北で菅首相では選挙は戦えないという声が出てくる可能性も否定できず、「コロナ感染が今後さらに悪化する場合、自民党内で菅おろしが始まる可能性があるが、代わりの有力な首相候補も見当たらない」(砂川教授)とみる。

「(衆院選で)自民党の議席減が30程度でとどまれば菅首相は続投する」(自民党幹部)というのが現在の相場観だ。

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