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焦点:ESG投資に弾みついた1年、異常気象頻発などが後押し

[ボストン/ロンドン 23日 ロイター] - 2021年は環境、社会、企業統治を重視するESGファンドに過去最大の資金が流入し、ESG投資家は企業や規制当局に改革を迫ることに成功した。

12月23日、2021年は環境、社会、企業統治を重視するESGファンドに過去最大の資金が流入し、ESG投資家は企業や規制当局に改革を迫ることに成功した。写真は9月、ロンドンのイングランド銀行前で、化石燃料を使う産業への投資に抗議するデモ参加者(2021年 ロイター/Henry Nicholls)

異常気象の頻発や、米ミネアポリスで警官が黒人男性を殺害した事件などを背景に、ESGは投資家や企業、政策立案者にとって優先課題に浮上した。

リフィニティブ傘下リッパーのデータによると、年初から11月30日までに世界中のESGファンドに流入した額は6490億ドルと、2019年の2850億ドル、20年の5420億ドルから増加して過去最高を記録。ESGファンドは世界のファンド資産の10%を占めるようになった。

持続可能性についての努力を高く評価されている企業の株価も好調だった。MSCI世界ESGリーダーズ株価指数は年初からこれまでに22%上昇し、上昇率はMSCI世界株式指数の15%をしのいだ。

ESG投資家は企業のESG対策に積極的に異を唱えるようになり、米石油大手エクソン・モービルでは、同社が推薦した取締役候補をはねのけることに見事成功。持続可能投資研究所によると、米企業の株主総会で社会、環境関連の提案が支持された割合は2017年に21%、2020年に27%だったのが、今年は32%に高まった。

投資運用会社ボストン・トラスト・ウォルデンのディレクター、ティム・スミス氏は「分水嶺となる年だった」と話す。

スミス氏は、1971年の米自動車大手ゼネラル・モーターズ(GM)の株主総会と比べると、今年は隔世の感があると語った。この年は、当時、人種隔離政策を行っていた南アフリカからGMが撤退するよう求める投資家の決議案に、わずか1%の支持しか集まらなかった。

投資家の声が高まったことを受け、規制当局はESG関連の情報開示に力を入れるようになった。米証券取引委員会(SEC)は現在、何をESG投資とみなすかの基準について資産運用会社に問い合わせており、今後は炭素排出などに関する企業の開示指針を厳格化する見通しだ。

欧州連合(EU)の欧州委員会もこのほど、環境に配慮した企業活動の分類基準である「持続可能な投融資タクソノミー」をおおむね策定し終えた。一部は来年から適用が始まりそうだ。

リッパーによると、世界のESGファンド6兆1000億ドルのうち、59%を欧州、中東、アフリカ地域が占めている。これは、この地域がいち早くESG投資に乗り出したことの表れだ。

今年は欧州のESGファンドへの資金流入が減ったが、米国とアジアのESGファンドへの資金流入が、これを補って余りあるペースで増えた。

ESG投資家は今年、エクソン・モービルの事案以外にも、ゼネラル・エレクトリック(GE)のローレンス・カルプ最高経営責任者(CEO)に対する2億3000万ドルの報酬案を却下するなどの成果を挙げた。

ゴールドマン・サックス資産運用部門のスチュワードシップ・グローバル責任者、キャスリン・ウィナー氏は、企業が環境や社会面の対策を強化せずに株主リターンだけ達成しても、投資家はもう満足しなくなっていると指摘。「単なる株主ではない。ステークホルダーとしての意識なのだ」と説明した。

<機関投資家の支持も拡大>

もちろん、ESG投資家が要求を通せなかった事例もある。大きな支持を得ながらも、過半数の賛成を得られなかった株主決議案には、電気自動車(EV)大手テスラに雇用仲裁慣行の改革を求めた件や、電子商取引大手アマゾン・ドット・コムに人種間平等などへの対応を見直すよう求めた例があった。

大手機関投資家はESG関連決議を支持しないことが多かったが、それでもこうした決議に対して好意的な姿勢を示し始めている。活動団体セレスによると、米ブラックロックは、今年提出された気候変動関連の決議案49件中、41%を支持した。昨年は同様の決議案への支持が10%にとどまっていた。バンガードのファンドは、この割合が昨年の14%から37%に上昇した。

米国では、企業はSECの許可を得れば株主決議の採決を行わないことが可能だ。しかし専門家によると、SECは11月に採決回避の条件を狭めた。この結果、企業は来年、例えば商品の包装の仕方やプラスチックの利用など、事業運営上の問題についても株主決議を突きつけられる例が増えそうだという。

(Ross Kerber記者、Simon Jessop記者)

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