March 28, 2019 / 4:01 AM / 3 months ago

焦点:737MAX飛行再開になお時間、米航空当局に厳しい目

[シアトル/ワシントン/モントリオール 26日 ロイター] - 米ボーイング(BA.N)のエンジニアがノートパソコンとUSBメモリーを手に取り組めば、737MAX型機の失速防止装置のソフトウエアにパッチ(修正プログラム)を当てる作業はものの1時間で完了する。ここまでは簡単だ。

 3月26日、737MAXの認証審査を巡って米航空当局には厳しい目が注がれている。737MAXの機種部分。3月27日、米ワシントン州レントンにあるボーイング社の工場で撮影(2019年  ロイター/Lindsey Wasson)

だが、ボーイングの次期主力機737MAXが飛行を再開するには、米連邦航空局(FAA)のほか、2度の墜落事故を受けて運航停止を命じた各国の航空当局から、この修正プログラムの承認を受けなければならない。

中国や欧州、カナダの航空当局は、飛行再開に当たってFAAの判断をそのまま受け入れることはせず、独自の検証を行う構えだ。

737MAXの認証審査を巡ってFAAには厳しい目が注がれている。各国の航空当局が空の安全におけるFAAのリーダーシップに異を唱えていることもあり、飛行再開までに数カ月かかる可能性もある。

「この問題は、7月か8月まで片が付かないだろう」。ボーイングの株主でもあるフォート・スミス・キャピタル・グループの最高投資責任者、チャーリー・スミス氏はこう予測する。

世界最大の航空機メーカーであるボーイングは、昨年10月のインドネシアのライオン航空機墜落事故を受けて、失速を防止する制御ソフト「MCAS」のアップグレードに取り組んできた。この事故は、ソフトが機首を下げ続け、操縦士がそれを修正できなかったことが原因とみられている。

27日の上院公聴会に出席したFAAのエルウェル長官代行は、事前に提出した証言原稿で、「FAAによる事実やデータの分析がそれを適当と認めるまで」737MAX型機の飛行再開を認めない方針を示した。

それによると、ボーイングがMCASソフトウェアの修正案をFAAに正式に提出し承認を求めたのは、1月21日だった。

承認を前に、FAAはMCASソフトウェアの見直しに「直接関与」していたが、「時間の経過とともに、継続的な分析と改善に資するデータが出てきた」という。

客室内の通路が1本の「ナローボディ」であるこの新型機は、10日にエチオピア航空機が墜落し、昨年10月のライオン航空機事故との類似性が指摘され、世界的に運航が停止された。

運航と納入の再開に向けた第一歩として、ボーイングは200社超の航空会社と各国当局に対し、ソフトウエアや訓練の詳細情報を提供する方針だ。

ひとたび修正プログラムが承認を受ければ、作業自体は1機当たり1時間もあれば済むと、FAA関係者は言う。だが作業全体としては、さらに長い時間が必要になる可能性がある。

FAAとボーイングは、機能上の異常事象を抽出し、機体に与える影響を検証する作業を含め、分析の一部をやり直す必要がある。すでに認証を受けたシステムに変更を加えるためだ。

パッチを当てた後は、地上試験と飛行試験が行われるが、必要となる期間には幅がありそうだ。

「もちろん飛行再開を求められているが、同時に、承認は適切に行わなければならないというプレッシャーも大きい」と、前出のFAA関係者は話す。

「事を急いて、後で問題が出てくるような事態は絶対に避けなければならない」

ボーイングとFAAは、コメントの求めに応じなかった。

<FAAにプレッシャー>

過去何十年にもわたり、大国も小国もFAAのリードに従ってきた。だが今回、2件目の墜落事故を受けてFAAが出した「運航停止を指示する根拠はない」とする見解には従わない国が多かった。

実際、主要国の航空当局の間で、FAAだけが独自の立場を取っていた。まず中国が、そしてシンガポール、英国、カナダが運航を停止。トランプ米大統領が同型機の運航停止を表明したのは、その後だった。

運航再開に向けて動くFAAとボーイングには今、海外から厳しい目が向けられている。中国はここでも、規制当局の「序列」をひっくり返し得る立場にある。

中国は25日、737MAX型機の耐空証明の申請受付を停止した。

カナダと欧州、そしてトルコは、FAAによる承認後でもパッチの検証に必要なだけ時間をかける方針を示唆している。従来であれば、FAAが承認すれば他国もそれに追随することが多かった。

規制当局間の力関係の変化は、問題の早期解決を目指すボーイングにとって障害となると、専門家はみている。

また、世界各国の航空当局が慎重な姿勢を強めることで、米国とカナダ、欧州が新型機の安全認証を認め合う相互システムに依拠している現在の仕組みにも広範な影響が出るだろう。

新型機の認証に際し、FAAのような規制当局が重要部分を担うことで、他国の当局は同じ作業を繰り返さずに結果を承認できたため、コストと時間の節約になっていた。

コスト抑制と安全性の確保に貢献していたこのような世界的「信頼」の仕組みは、米国が適切な行動を取らなかったという疑念を各国が持ったことで揺らぐ恐れがあると、コンサルティング会社ティール・グループのアナリスト、リチャード・アボウラフィア氏は指摘する。

「新型機のシステムやイノベーション、開発のコストを押し上げる」

<777Xの認証に影響か>

カナダのガルノー運輸相はロイターに対し、昨年10月の墜落事故を受けて既にFAAの先を行く対応を取っており、安全認証のハードルを再び上げる用意があると話した。

「いつも(米国と)同じように行動する訳ではない。一定の安全の基準を超える必要がある。そのこと自体に何の問題もない」と、ガルノー氏は語った。

墜落事故の余波は、737型シリーズ以外にも広がる可能性がある。開発中の大型機ボーイング777Xの認証についても、欧州当局がより厳しく審査し、遅れる可能性があるとの見方を、ローンチカスタマー(最初に大規模発注を行う顧客)である独ルフトハンザ航空のカーステン・シュポア最高経営責任者(CEO)は示す。

「全体的に、各国当局は米国の認証を受け入れることにより慎重になるだろう。インドネシアとエチオピアで起きた悲しむべき事故がもたらした産物だ」と、同CEOは記者団に話した。

(Eric M. Johnson記者、 David Shepardson記者、Allison Lampert記者、翻訳:山口香子、編集:久保信博)

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