[ブリュッセル 22日 ロイター] - 欧州中央銀行(ECB)のドラギ総裁は22日、欧州連合(EU)首脳会議で、景気が回復しつつあるにも関わらず欧州各国政府が歳出拡大に動いていることについて、経済への中期的なリスクになると警告した。
関係筋によると、ドラギ総裁はEU首脳会議に合わせた定例記者会見で欧州経済の成長ペースは変わっておらず、消費に支えられていると説明。住宅部門も含めて投資の拡大ペースは約10年前の危機前の水準に回復していると述べた。
民間部門の債務縮小と銀行の自己資本比率改善が状況をさらに明るくしていると指摘。ただ、海外要因を中心に中期的に4つのリスクがあるとの見方を示した。
1点目として、保護貿易主義が経済に直接影響を与え、信頼感への打撃となるリスクを挙げた。
また、金融規制緩和が金融危機を引き起こしたとし、金融規制緩和に慎重な姿勢を示した。
3つ目には、年初の米株価急落など、資産価格の急激な調整が欧州経済に影響するリスクを挙げた。
さらに、各国の財政政策は現在プロシクリカル(景気循環増幅的)で、特に米国でその傾向が強く、欧州でもその傾向がみられるとし、そうした国では景気が回復しつつあるにも関わらず、緊縮財政を緩和して歳出を拡大する動きがあると指摘した。