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焦点:EU復興基金合意、ユーロと欧州資産の「転換点」に

[ロンドン 21日 ロイター] - 欧州連合(EU)が21日、新型コロナウイルス感染のパンデミックで痛手を受けた域内経済の立て直しで総額7500億ユーロの「復興基金」を創設することに合意し、投資家は拍手喝采を送った。欧州の財政統合に向けて重要な一歩を踏み出したことになり、債務危機や南北対立に長年悩まされてきたユーロ圏の金融資産にとって、プラス方向への大きな転換点になったとみなされたからだ。

7月21日、 欧州連合(EU)が、新型コロナウイルス感染のパンデミックで痛手を受けた域内経済の立て直しで総額7500億ユーロの「復興基金」を創設することに合意し、投資家は拍手喝采を送った。写真はブリュッセルのEC本部で21日、復興基金創設で合意し、肘を合わせて喜ぶ欧州委員会のフォンデアライエン委員長(左)と、ミシェルEU大統領。代表撮影(2020年 ロイター)

復興基金は、約70年にわたる欧州統合の取り組みにおける画期的で未曽有の行動との評価がもっぱら。実際、ユーロ/ドルは基金創設合意を好感し、1年半ぶりの高値を付けた。

これまでギリシャの債務危機やイタリアに反EU的なポピュリズム政権が誕生したことなどで、投資家は何度も、ユーロ圏解体が近づいているとの恐怖にさいなまれてきた。だからこそユーロや、そうした懸念が出るたびに売り込まれてきたイタリア国債が、財政統合への期待から輝きを放ち始めたのも当然と言える。

ニューバーガー・バーマンのグローバル通貨責任者ユーゴ・ランチオーニ氏は「今までずっと投資家の頭から離れなかった欧州解体のリスクはほぼ完全に取り除かれた」と述べた。

投資家の見立てでは、これでユーロとユーロ圏の株式市場の先行きは明るくなった。ただイタリアは債務水準が増大を続けていることから、同国の国債の値上がりが限定的になる可能性はある。

T・ロウ・プライス(運用資産1兆ドル)のポートフォリオマネジャー、クエンティン・フィッツシモンズ氏は「ユーロの長期的価値に疑念を抱かせる理由の1つがなくなった」と語る。同氏は過去6週間で、ユーロの買い持ちポジションを構築してきた。

ユーロには財政統合の流れが強まれば準備通貨としての魅力が高まるという、長い目で見た好材料もあるため、新たなきっかけ次第でさらに上値を目指してもおかしくない。そのきっかけが生まれる環境も整いつつあるようだ。

ロンバー・オディエのFX戦略グローバル責任者バシレイオス・グキオナキス氏は、既にユーロの投資判断をオーバーウエートとしており、理由として米国では政治情勢が混乱しており、依然として首尾一貫した新型コロナ対策が講じられていないと指摘。「ドルにとっては完全な逆風、ユーロにとってはかなり強い追い風が吹いている状況にある」と説明した。

モルガン・スタンレーは、ユーロ圏の株式はイタリアとスペインが主導する形で、世界全体の株式を10%アウトパフォームするとの予想を示した。

一方、復興基金構想が初めて浮上した5月以降のリターンが6%に達し、21日の基金創設合意を受けて利回りが3月以来の低さとなったイタリア国債については、一部の市場参加者が利益確定売りに動いている。

フィデリティ・インターナショナルの投資ディレクター、アンドレア・イアネッリ氏は、復興基金創設だけを理由にイタリア国債を全面的に買うべきではないと警告する。

確かに今年の公的債務の対国内総生産(GDP)比が昨年の134.8%から159%に高まろうとしているほど借金が膨れ上がっているイタリアにとって、復興基金の効果も焼け石に水となりそうだ。

こうした背景から、UBSアセット・マネジメントのグローバル・ソブリン債責任者ケビン・ザオ氏は、1カ月前にイタリア国債の保有を減らしており、さらなる価格上昇余地が乏しいことを理由に、買い直す考えは持っていない。

ザオ氏によると、イタリア経済が弱いままなら、将来のテールリスクやショックをよく吟味せずにわずかな期間収益を稼ぎたいとは誰も思わないだろうという。

(Yoruk Bahceli記者、Olga Cotaga記者、Elizabeth Howcroft記者)

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