[8日 ロイター] - 欧州委員会は、欧州中央銀行(ECB)の資産買い入れプログラムについて欧州連合(EU)の裁判所が既に適法と判断していたにもかかわらず、ドイツ連邦憲法裁が異議を唱えたことを巡り、EU規則に違反するか調査しており、ドイツに対し9日に法的措置を開始する。複数の関係筋が8日に明らかにした。
ドイツ憲法裁は昨年5月、ECBの資産買い入れプログラムは権限の範囲を超えていると指摘。ECBが政策の必要性を証明しなければ、ドイツ連邦銀行(中銀)は国債買い入れを停止する必要があるとの判断を下した。だが、それより先にEUの最高裁に当たる欧州司法裁判所(ECJ)は同プログラムを適法と判断していた。
ECJは、EU機関がEUの規則に違反しているかどうかを判断できるのはECJだけだと主張し、ドイツ憲法裁をけん制した。
関係筋によると、欧州委はドイツ憲法裁の判断がEU規則に違反するか調査していると通知する書簡をドイツに送ることで9日に合意する見通し。
こうした書簡は手続きの第1段階であり、最終的にECJに罰則適用を要請する可能性がある。
関係筋の1人によると、欧州委はドイツ憲法裁の判断について、他のEU加盟国がEU裁判所よりも自国の裁判所の権限を主張することにつながる可能性があり、EU法にとって危険な前例になるとみている。
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