[ロンドン 19日 ロイター] - 欧州連合(EU)の欧州証券市場監督機構(ESMA)は19日、ESG(環境・社会・企業統治)の評価が高い企業の株価が過去2年間に好調な推移を示したと指摘し、ESG投資によって目先のリターンを追う市場の短期主義が変わるかもしれないとの見解を示した。
ESMAの最新の「トレンド・リスク・脆弱性」リポートによると、ESG評価が高い企業で構成される「ユーロストックスESGリーダーズ50」指数は過去2年間、代表的な株価指数「ユーロストックス50」に比べて好調に推移してきた。
「ESG投資は環境への配慮を追求するためにリターンを犠牲にするわけではないとの見方を裏付けており、むしろ、ESGの要素を組み込む過程でリターンを高めている」と指摘した。
リポートによると、環境対策などへの資金を調達するために民間企業が発行するグリーン債も増えており、2019年には毎四半期に210億ユーロの発行があり、現時点の発行残高は2710億ユーロに上る。ただ、EUの社債市場に占める割合は2%にとどまっているという。
また、グリーン債のパフォーマンスが従来の社債に比べて好調か不調かを示す明確な材料はないとした。
ESMAは、金融市場における投資期間の不均衡や、目先の利益の追求に報酬が与えられるファンドマネジャーおよび企業幹部の報酬制度が短期主義をもたらす要因になっている可能性を指摘。「ESG開示の範囲と質の改善が、投資に関するより長期の決定を投資家に促すかもしれない」とした。
金融機関のアナリストもまた、短期主義をもたらす要因だとした。
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