[ブリュッセル 25日 ロイター] - EU首脳らは、25日まで2日間にわたって開かれた首脳会議で、ドイツとフランスが提案したロシアとの首脳会議で合意に至らなかった。ロシアに誤ったメッセージを送るとしてポーランドやバルト諸国が反対した。
ドイツのメルケル首相は「極めて包括的な話し合いが行われた。簡単なものではなかった」と説明。「われわれがどの条件においてロシアと協力し、より緊密に連絡を取り合う用意があるかを再度確認した」と述べた。
フランスのマクロン大統領は「迅速な首脳会談でコンセンサスは得られなかったものの、これは悲劇ではない。最も重要なことは団結することであり、分裂はわれわれを弱める」と語った。
マクロン氏は首脳会談に先立ち、今回の会談はロシアとの関係改善に向けた対話の機会になると主張。記者団に「欧州の利益や安定のためには対話は必要だ」と述べていた。
実現すれば、ロシアがウクライナ南部のクリミア半島の併合を一方的に宣言した2014年以来となる。
メルケル首相も24日、独連邦議会で「EUとして、ロシア大統領との直接対話を探るべきだ」述べ、「米大統領がロシア大統領と対話をするだけでは十分ではない」と指摘。「EUも対話の場を作るべきだ」と主張していた。
イタリアのドラギ首相は「ロシアは経済的にも政治的にも重要なプレーヤーであり、われわれは積極的に対話していかねばならない」と訴えた。
一方、ロシアとの首脳会談には、加盟国の多くから反対の声が上がった。
リトアニアのナウセーダ大統領は、ロシアに対するスタンスを変えないことが多くのEU首脳の共通認識だと説明。核保有国であるロシアと米国の関係に言及し、「(EUとロシアの関係は)米ロ関係とは異なり、非常に慎重になるべきだ」と指摘した。
ポーランドのモラウィエツキ首相は、プーチン大統領が近隣諸国に対する「攻撃的」な政策をやめるべきだと主張。ロシアが2014年に強制編入したウクライナ南部クリミア半島を保持する限り、首脳会談を行うことはできないと語った。
ラトビアのカリンシュ首相も、ウクライナの問題が解決していないのにもかかわらず首脳会談を行えば、ロシアを利することになると述べた。
EUとロシアは、ウクライナやベラルーシ情勢、人権問題などを巡り対立している。EU首脳らは、ロシアとの首脳会談で合意する代わりに、ロシアがサイバー攻撃など挑発的な行為を続けた場合、追加制裁も辞さないという立場を堅持した。
首脳会談後に発表した声明では、欧州委員会とボレル外交安全保障上級代表に対して「経済制裁を含む追加的な制限的措置の選択肢を提示する」よう求めた。
ロシア側は、首脳会談を歓迎する姿勢も見せている。ただ、ロシアのラブロフ外相は24日、議題が何になるかなど詳細を把握する必要があると述べた。
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