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アングル:ユーロ急伸で副作用に警戒感、買い持ち拡大に躊躇も

[ロンドン 31日 ロイター] - ユーロ/ドルが2年ぶり高値に達し、長年の不遇時代がようやく終わる、とせっかく手放しで喜ぼうとしているユーロ強気派に、冷や水を浴びせる要素が出てきた。急激なユーロ高がもたらしかねない副作用への警戒感だ。

7月31日、ユーロ/ドルが2年ぶり高値に達し、長年の不遇時代がようやく終わる、とせっかく手放しで喜ぼうとしているユーロ強気派に、冷や水を浴びせる要素が出てきた。写真はユーロ紙幣。ローマで2019年5月撮影(2020年 ロイター/Yara Nardi)

ユーロ/ドルEUR=EBSは5月以降で11%上昇した。ドル安の進行とともに、欧州連合(EU)が新型コロナウイルスで打撃を受けた域内経済について、「復興基金」創設など協力して対処する方針に合意したことが好感された。ユーロの実質実効レートにいたっては、6年ぶりの高水準に跳ね上がっている。

ただ一部の投資家は、欧州中央銀行(ECB)がこうしたユーロの上昇は行き過ぎで、スピードも速過ぎるとみなして抑え込みにかかるのではないかとの懸念から、ユーロ買い持ちの拡大を見送るかもしれないという。

ブルーベイ・アセット・マネジメントのポートフォリオマネジャー、カスパー・ヘンセ氏は、ユーロ/ドルで1.18ドル付近の水準が「ECBからの追加利下げに関するノイズが高まる」きっかけになり得ると考え、ユーロ買い持ちを避けている。

7月31日のユーロ/ドルは一時1.19ドルまで買われた。復興基金案が初めて浮上する直前の5月18日は1.08ドルだった。こうしたユーロ高は、新型コロナのパンデミックを巡る対応で欧州が米国より成功しているとの見方も反映されている。

それでもUBSグローバル・ウエルス・マネジメントのエコノミスト、ディーン・ターナー氏は、当面のユーロ/ドルは1.15-1.20ドルのレンジにとどまり、レンジの上限を突破すればさまざまなリスクが生じると予想した。

ターナー氏は「経験則に基づく単純なモデルは、10%のユーロ上昇が欧州の域内総生産成長率を40ベーシスポイント(bp)下押すと示唆しているので、ユーロ高がずっと続くことは不可能だ」と説明する。

株式投資家はここ数カ月、欧州株の買いを本格的に復活させたが、ユーロ圏企業の半分以上が域外で売上高を得ている以上、為替レートに収益を左右される。クレディ・スイス・アセット・マネジメントの株式ポートフォリオマネジャー、マルコ・モセッティ氏によると、10%のユーロ高で欧州企業の1株利益はおよそ6%減少するという。

2018年初めにユーロが数週間で5%上昇した場面では、当時のドラギECB総裁が為替レートは「不確実性の源」になっているとけん制した。

これに対して今回、ECBは今のところ沈黙を守っている。マイナス0.5%の中銀預金金利をさらに引き下げることにも消極的だ。

ユーロ高が経済に及ぼすマイナス効果は、ユーロ圏の先行きに対する明るさが増していることで限定されるかもしれないとの声も多い。

みずほのマルチ資産戦略責任者ピーター・チャットウェル氏は、今後数カ月中にユーロには安全志向の資金が「相当」流入すると予想。ユーロ高の原因は欧州の政治的、金融的な構造の根本的な改善にあるので、今そうした流れに逆らうのは危険だろう」と指摘した。

(Elizabeth Howcroft記者)

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