[フランクフルト 2日 ロイター] - 欧州中央銀行(ECB)のクーレ専務理事は2日、ユーロ圏の銀行は超低金利環境に対応でき、成長とインフレを押し上げに向けたECBの政策からむしろ恩恵を受けるとの認識を示した。
同専務理事の発言は、次回理事会を10日に控えECB内で追加緩和に向けた議論が根強く続けられていることを示唆している可能性がある。
クーレ専務理事はフランクフルトで行った記者会見で、銀行の利益はぜい弱となっている可能性があるものの、多くはECBのマイナス金利による影響を克服しており、むしろ超低金利政策から恩恵を受けていると指摘。「多くの銀行は融資の伸び、利払い費用やリスクに対する引当金の減少などで、利子収入の低下を補って上回る恩恵を受けてきた」と述べた。
また、銀行業界が直面する問題は不良債権やぜい弱なビジネスモデルなど、業界が従来から抱えてきたものと指摘。金融緩和策によりインフレ率を押し上げることへのECBのコミットメントは域内の経済と銀行の健全性にとって「不可欠」であると述べた。
専務理事は、超低金利政策が銀行の金利収入を圧縮する懸念はECBとして認識しているとしたが、銀行はいまのところ収入を守ることができており、どのような状況下でも経済成長の回復は銀行システム全体にとって必須だと主張。
「最近の銀行株急落で、銀行セクターが経済見通しの悪化に極めて敏感であることが分かった」と述べ、「この文脈において、ECBが物価安定策にコミットしていることは名目成長見通しが下振れしないために必要不可欠だ」と言明した。
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