May 29, 2015 / 4:41 AM / 4 years ago

焦点:ギリシャ支援協議、チプラス首相が迫られる厳しい選択

[アテネ 28日 ロイター] - ギリシャ政府は来週6月5日に期限を迎える国際通貨基金(IMF)の融資分約3億ユーロについては何とか返済しそうだ。だが、デフォルト(債務不履行)懸念が再燃するまでに債権団との大きな意見の隔たりを埋める道は極めて限られている。

 5月28日、ギリシャは6月5日期限のIMFへの返済は乗り越えられそうだが、デフォルト懸念が再燃するまでに債権団との大きな意見の隔たりを埋める道は極めて限られている。写真はチプラス首相。リガで22日撮影(2015年 ロイター/INTS KALNINS)

ギリシャ側は、6月5日よりも前に改革と引き換えに新規支援資金を受け取る合意ができるとしきりに強調している。同国報道官は、31日までに合意に達しそうだとの考えを示した。

協議に詳しい複数の関係筋によると、それほど早く合意する可能性は乏しいが、ギリシャ当局者が警鐘を鳴らしているといはいえ、6月5日の段階ではデフォルトを避ける手段や資金が十分にあるので、そこはもはや同国にとって「最後の審判の日」ではなくなっている。

専門家は、たとえギリシャがIMFへの返済をしなかったとしても、すぐに破滅的な結果につながるわけではないとも話す。

ギリシャ政府は、公務員や年金受給者への支払いが滞るよりはIMFに返済しない方が悪影響が少ないとの立場を明言している。このため、来週にかけて訪れる重要な問題は、6月中にIMFと公務員・年金受給者の双方に払えるだけの資金をやりくりできるかだ。

同国政府関係者によると、6月全体で4回にわけてIMFに15億ユーロを返済しなければならない点を踏まえると、現時点で政府は双方に支払いを済ませるのに十分な資金は確保していない。

これらの関係者は、もしも27日から始まった協議が順調に進展してギリシャが6月末の公務員賃金と年金の支払い前に合意に達して支援資金が得られると自信を持った場合は、恐らく6月5日にIMFに3億ユーロを返済するだろうという。

別の選択肢としては、IMFへの返済を一括して6月末にすることを求めることが挙げられる。もっともユーロ圏当局者は可能な方法だとの見方を示したが、ギリシャ側は検討対象外としている。

3番目の選択肢はより時間を稼ぐやり方で、6月5日には返済するものの同12日返済分の3億4000万ユーロ、あるいは協議の合意までの距離がなお遠いようなら16日と19日の返済を見送るというものだ。

<鍵握る首相の譲歩>

協議に詳しい関係筋は、ギリシャのチプラス首相が労働市場や年金といったこれまで頑なに譲ることを拒否している分野で相応の譲歩をしない限り、合意には達しないとみている。

関係筋の1人は「ギリシャは妥協が必要だ。少なくとも彼らが想定している着地点の半分ぐらいで矛を収めるべきだ」と述べた。

現在の協議が暗礁に乗り上げているのは、ギリシャが年金削減撤回や団体交渉権の復活、最低賃金の水準にこだわっているためだ。債権団との間では、付加価値税の改革や今年と2016年の財政目標などについても意見が対立している。

資金が底をつき、経済活動が停滞しているギリシャの状況から、チプラス首相としては早く妥協して経済の崩壊を食い止めなければならないという切迫感に見舞われている面もある。

しかしこうした妥協は、首相の属する政権与党、急進左派連合内の反乱を招きかねない。与党の中では極左グループが少数派ながらも発言力を高めてきており、先週末の党中央委員会ではIMFへの返済をとりやめることを求める動議を僅差でようやく否決した。

与党幹部の1人は、チプラス首相が債権団から団体交渉権復活や将来の債務減免措置などの譲歩を引き出せば、党内の反発は抑え込めるとの見方を示した。一方で協議の合意内容を屈辱的とみなしたなら、首相は総選挙や国民投票に訴えるだろう、と政府筋は予想した。

与党の議会報道官はロイターに対して、協議で条件をのむかユーロ圏を去るかという選択を突き付けられれば、われわれは民意を問う必要がある、と語った。

最終的にギリシャの命運は、チプラス首相がどの程度、そしてどの段階で譲歩に踏み切るかに左右されることになる。

<残り少ない時間>

時間は残り少なくなりつつある。ギリシャに対する現在の支援プログラムが終了する6月末までの合意は必須。ただ現実的には、来週末までには合意の原案をまとめて、関係機関や各国財務相、一部加盟国の議会の承認手続きのために約4週間を確保した上で、実際に新たな支援が実行される、というのがユーロ圏のある関係筋が明かした手順だ。

ギリシャ側でも、資金を受け取る前に合意した改革の実行に着手することが求められる。

チプラス首相がIMFの返済見送りという思い切った手段に出た場合、どうなるか予想するのは難しい。ただ、銀行の取り付けをもたらして政府が資本規制を導入するかもしれないという大きなリスクが存在する。

IMFは融資の返済未納と正式に判断する上で期限から30日の猶予期間を設けており、ギリシャはこの期間を利用して交渉をまとめ、新規資金を確保して延滞分を返すことでデフォルトを回避する道もある。

現時点でチプラス首相は、デフォルトを避けて大幅な譲歩をして協議をまとめたことで生じるリスクの方が、金融上の大混乱を引き起こすリスクよりもましだと計算している、というのがアナリストの見方だ。

政治アナリストのジョン・ルーリス氏は「チプラス氏が政治的に生き残れるかどうかは協議で合意に達するかどうか次第だ。同氏は譲歩すると期待されていて、それに伴う政治的コストは思ったよりもずっと小さい。協議決裂という逆のケースになれば、政治的コストはずっと大きくなる」と指摘した。

(Deepa Babington、Renee Maltezou記者)

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