December 13, 2019 / 11:20 PM / a month ago

焦点:米軍、兵器開発用のレアアース自給へ 中国依存を警戒

[11日 ロイター] - 軍事兵器・エレクトロニクス機器の製造に用いる鉱産資源の国内供給体制を確立するため、米軍がレアアース加工工場建設への投資を計画していることが明らかになった。ロイターが米政府の資料で確認した。実現すれば、第二次世界大戦時の最初の原子爆弾製造以来、米軍が実用規模のレアアース生産に投資する初めての例になる。

 軍事兵器・エレクトロニクス機器の製造に用いる鉱産資源の国内供給体制を確立するため、米軍がレアアース加工工場建設への投資を計画していることが明らかになった。写真は2015年6月、米カリフォルニア州のレアアース関連施設で撮影(2019年 ロイター/David Becker)

この計画は、ドナルド・トランプ大統領が今年初めに出した命令に対応した動きだ。その中で同大統領は、戦略的鉱産資源を他国に依存していることが米国の防衛を損なう可能性があると警告し、米軍に対して希少原材料のサプライチェーンを刷新するよう命じた。

レアアース精錬量で世界首位の中国は、こうした特殊な鉱産資源の米国向け輸出を停止する可能性をほのめかしており、米国との貿易紛争において、自らの独占的な地位を武器にしようとしている。

アラスカでレアアース関連プロジェクトの開発に当たっているユーコア・レアメタルズの最高経営責任者ジム・マッケンジー氏は、「米国のレアアース業界は中国との競争に向けて大きな支援を必要としている」と語る。「資金面だけではなく、政界からの幅広い支援が必要だ」

政府資料によれば、米陸軍で軍備の検証を担当する部門は先月、鉱業企業各社に対して、いわゆる「重レアアース」を生産する試験的生産プラントのコストについて提案を募った。兵器利用に向けた需要の高い、特殊な鉱産資源のなかでもさらに希少な種類である。

提案の提出期限は12月16日。企業各社の関係者やこの件に詳しい情報提供者によれば、ユーコア、テキサス・ミネラル・リソーシズ、ライナスと株式非公開のブルーラインによる合弁事業などが応じるものと予想されている。

米陸軍は、精錬企業が負担するコストのうち、最大3分の2を出資する予定。対象プロジェクトは少なくとも1つだが、複数になる可能性もあるという。

<総工費1億ドル規模の可能性>

国防総省の一部門である米陸軍による最新の動きは、今年初めに行われた米国のレアアース・サプライチェーンの実情に関する軍の調査を踏まえたものである。

レアアースをめぐる米中間の緊張は、少なくとも2010年には始まっていた。中国がこの年、外交上の対立を受けて日本へのレアアース輸出を制限し、希少鉱産資源の価格が急騰したことから、中国が米国に対しても同じ策を取るのではないかという懸念が米軍全体で生じたのである。

米陸軍戦闘能力開発本部化学・生物兵器センターと米陸軍本部にコメントを求めたが、回答は得られていない。

米陸軍は具体的な出資金額を示してはいないが、募集の法的根拠の1つとなっているのが防衛生産法(DPA)は1950年代の連邦法で、この法律は、国防に必要な装備の調達に向けて、資金面でかなりの裁量の余地を国防総省に与えている。

業界幹部によれば、レアアース加工のための試験的生産プラントのコストは、立地や規模その他の要因にもよるが、500万─2000万ドルになると思われ、本格的な実用プラントであれば総工費1億ドルにも達する可能性があるという。

「国防総省がこの産業への資金的な支援に関心を示しているというのは素晴らしいことだ」と語るのは、ブルーラインのジョン・ブルメンタル最高経営責任者(CEO)。ブルーラインは今年初め、オーストラリアを本拠とするライナスとのあいだで、テキサス州でのレアアース加工施設の建設に向けた覚書を交わした。

ブルーラインが米陸軍のプロポーザル募集に応じるかどうかという質問に対して、ブルメンタルCEOはコメントを拒否した。ライナスもコメントを控えている。

<米国サプライチェーンをめざす>

レアアース産業の専門的な知識は今、かなりの部分が中国に集積しており、米陸軍が応募企業の提案をどのように評価付けするのか明確ではない。もっとも、現代的なレアアース産業それ自体は、数十年前に米国で生まれたものだ。

テキサス州でUSAレアアースと共同でラウンドトップ鉱山を開発しているテキサス・ミネラル・リソーシズのアンソニー・マーチーズCEOは、「今回の米陸軍の動きは、また別の調査に資金を出すのではなく、米国ベースのレアアース・サプライチェーンの確立を目指して資金を配分するというものだ」と語る。

だがレアアースの加工後は精密誘導ミサイルやスマート爆弾、軍用ジェット機で使われるようなレアアース磁石を生産する必要がある。レアアース磁石産業を支配しているのも、やはり中国である。

国防総省は、国内での磁石製造に出資しようという動きをまだ開始していない。

レアアース産業を注意深く追跡している調査会社アダマス・インテリジェンスでマネージング・ディレクターを務めるライアン・キャスティルー氏は、「磁石製造におけるギャップを縮めることができれば、米国の国防だけでなく、電気自動車メーカーなどのニーズに応えるという点でも大いに有益だろう」と語る。

(翻訳:エァクレーレン)

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