September 20, 2019 / 4:35 AM / a month ago

アングル:イスラエルの連立樹立また迷走、ネタニヤフ時代終焉か

[エルサレム 19日 ロイター] - イスラエルは17日のやり直し総選挙(国会定数120)で過半数を獲得する勢力がなく、右派「リクード」党首のネタニヤフ首相は19日、中道政党連合「青と白」率いるガンツ元軍参謀総長に連立政権の樹立を呼び掛けた。ガンツ氏はこれを拒否した。

9月19日、イスラエルのやり直し総選挙は過半数を獲得する勢力がなく、右派「リクード」党首のネタニヤフ首相は中道政党連合「青と白」率いるガンツ元軍参謀総長に連立政権の樹立を呼び掛けた。ガンツ氏はこれを拒否した。写真は出口調査の結果が出た後、リクードの党本部に到着したネタニヤフ氏。9月18日、テルアビブで撮影(2019年/Ammar Awad) 

汚職疑惑で検察の捜査を受けているネタニヤフ氏は今年4月の総選挙に続いて連立政権の樹立に失敗し、弱体化が浮き彫りになっている。

今後予想されるイスラエル政界やネタニヤフ氏の動きをまとめた。

◎ネタニヤフ時代は終焉を迎えたか

そう宣言するのは早計だが、「終わりの始まり」になる可能性はある。ただ、今月70歳になるネタニヤフ氏は10年にわたり国内の通信、報道、ソーシャルメディアを牛耳ってきた。また、これほど多くの外国指導者と渡り合ってきたイスラエルの首相は他にいない。熱烈なリクード支持者から「魔術師」と呼ばれ、これまでに何度も窮地を切り抜けてきた。

◎なぜ首相輪番制に関心を持つのか

ネタニヤフ氏はガンツ氏と輪番で首相を務める可能性に触れたが、その際に左派のシモン・ペレス氏とリクード前党首のイツハク・シャミル氏が1980年に合意を結び、84ー88年にかけて首相の座を交代で務めた事例に言及した。

首相輪番制で合意できればネタニヤフ氏は首相として過去最高の5期目となり、政治的な生き残りを確保できる。

◎やり直し総選挙の勝者はだれか

地元メディアによると、開票率99%の時点でネタニヤフ氏率いる「リクード」の議席は31議席。さらに開票が進めば獲得議席数が変わる可能性はあるが、現時点ではガンツ氏が率いる「青と白」が2議席多い。単独で政権を樹立できる勢力はないが、ガンツ氏の方が優位に立っている。

◎新政権樹立にこれほど時間が掛かるのはなぜか

イスラエルでは政治、宗教、民族などで意見が割れており、議会で単独政党が絶対過半数を握ったことはない。4月9日の総選挙後にネタニヤフ氏が組閣に失敗したため、今回やり直し総選挙が行われたが、選挙を巡る混乱は続いている。

ネタニヤフ氏の勢力は極右とユダヤ教超正統派を合わせた議席数が現在55議席となっている。一方、ガンツ氏が率いる左派の議席数は合わせて57議席となる可能性がある。

◎他の主要勢力は何か

極右「わが家イスラエル」を率いるリーベルマン前国防相が連立交渉の行方を左右する可能性がある。リーベルマン氏は極めて宗教色が薄く、安全保障や対パレスチナ問題では非常にタカ派的だ。4月の総選挙後は、ネタニヤフ氏からの連立政権樹立の提案を拒否した。今回はネタニヤフ氏がガンツ氏に連立を持ちかけたことに激怒し、ネタニヤフ氏は「単なる日和見主義者だ」と述べたが、ネタニヤフ支持に転じるかもしれない。

◎ネタニヤフ氏に対する汚職調査の進展具合は

イスラエル検察は警察による長期間の捜査の後、ネタニヤフ氏を3件の汚職容疑で起訴する方針を発表した。検察長官は年内に正式に起訴するかどうか判断する見込み。しかしネタニヤフ氏は10月に開かれる予備審問で起訴に反論することができる。ネタニヤフ氏は不正を否定し、自分は魔女狩りの犠牲者だと訴えている。

ネタニヤフ氏が首相の座にとどまるか、もしくは首相輪番制を導入できれば、法律によれば正式に起訴されても首相を退任する必要はない。ただ、ガンツ氏と連立政権を樹立すれば、政治的にも世論的にも退任の圧力が強まるだろう。

一部のアナリストは、ネタニヤフ氏が起訴の取り下げと引き換えに首相を退任すると持ち掛ける可能性があると指摘している。

◎やり直し選挙の結果が判明するとどうなるか

大統領が各政党の党首と次期首相について協議し、連立政権樹立に最も適すると思われる人物を選ぶ。指名を受ける人物は議席数が最も多い政党から選ばれるとは限らず、指名を受けてから42日以内に組閣を行う。組閣できなかった場合には大統領が別の議員に組閣を依頼することができる。

◎新政府樹立までどの程度かかるか

数週間掛かるだろう。過去の連立協議は土壇場までもつれ込むことが少なくなかった。誰が組閣要請を受けようとも、多くの政党との調整を余儀なくされる。ただ、リーベルマン氏の協力の有無にかかわらず、ネタニヤフ氏とガンツ氏が連立で合意すれば新政府が迅速に樹立されるだろう。

◎トランプ氏の中東和平案はどうなるのか

 2016年に亡くなったイスラエルのペレス前大統領をしのぶ会に出席したネタニヤフ首相(左)、リブリン大統領(中央)、中道政党連合「青と白」率いるガンツ元軍参謀総長(右)。9月19日、エルサレムで撮影(2019年 ロイター/Ronen Zvulun)

ネタニヤフ氏は、やり直し総選挙後すぐにトランプ米大統領が中東和平案を発表する見通しだと述べている。しかし、トランプ氏は和平案発表前にイスラエルの次期政権発足を見極めたいと思うかもしれない。

ネタニヤフ氏はヨルダン川西岸のヨルダン峡谷を併合する考えを示しているが、右派勢力から明確に過半数を超える支持がない限り併合は難しいだろう。

ガンツ氏が樹立する政権はパレスチナとの交渉により前向きな姿勢になりそうだ。

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