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情報BOX:エルサレムの衝突、ガザでの大規模戦闘に発展した理由

[エルサレム 12日 ロイター] - 東エルサレムで数週間にわたってパレスチナ人とイスラエル警察の暴力的な衝突が続き、パレスチナ自治区ガザにおいてパレスチナ武装組織とイスラエル軍による7年ぶりの大規模な戦闘を引き起こしている。

 5月12日、東エルサレムで数週間にわたってパレスチナ人とイスラエル警察の暴力的な衝突が続き、パレスチナ自治区ガザにおいてパレスチナ武装組織とイスラエル軍による7年ぶりの大規模な戦闘を引き起こしている。写真はガザ地区で、イスラエル軍による空爆を受けた住宅に集まる人々(2021年 ロイター/Ibraheem Abu Mustafa)

既に何十人もの死者が出ている衝突の核心にあるのは、ユダヤ教とイスラム教、キリスト教それぞれの聖地であるエルサレムを巡るイスラエルとパレスチナの長年にわたる緊張関係だ。

イスラエル、パレスチナ双方とも戦闘長期化に備えつつあるように見える。事態をエスカレートさせている幾つかの要素を以下に示した。

◎ラマダン以後の抗議行動と土地権利巡る判決

イスラム教徒のラマダン(断食月)が始まった4月中旬以降、東エルサレムで夜間にパレスチナ人とイスラエル警察の衝突が起きた。警察側がパレスチナ人の集会を阻止するため旧市街の入り口の1つ、ダマスカス門にバリケードを設置して封鎖したためだ。

パレスチナ人はバリケードを集会の自由に対する制限措置とみなし、警察は秩序維持のために配置についていると主張した。

さらに緊張を高めたのは、東エルサレムの住宅で暮らす複数のパレスチナ人家族の立ち退きを求めてユダヤ人が起こした訴訟を巡り、イスラエルの裁判所がユダヤ人の主張を支持する判決を下したことだった。

衝突は旧市街のアルアクサ・モスクがある地域にも拡大。アルアクサ・モスクは、イスラム教にとって3番目に神聖とされ、イスラエルとパレスチナの対立に最も影響を受けやすい場所にある。この地域や旧市街近辺の衝突により、ここ数日で数百人のパレスチナ人が負傷している。

◎越えてはならない一線

ガザを実効支配するイスラム組織ハマスや他の武装組織はイスラエルに対して、エルサレムで起きた暴力的な衝突は「レッドライン(越えてはならない一線)」であり、イスラエル警察がアルアクサ・モスク境内への侵入をやめない場合、ロケット弾を発射すると繰り返し警告していた。

そしてイスラエルが1967年の中東戦争で東エルサレムを奪回したことを記念する「エルサレム・デー」だった今月10日、ハマスと武装組織「イスラム聖戦(PIJ)」はエルサレムと周辺地域に向けてロケット弾攻撃を行った。

ハマス指導者のイスマイル・ハニヤ氏は、イスラエルがエルサレムとアルアクサで先に武力を行使し、ガザに飛び火させたと非難。「それがもたらす結果に責任がある」と強調した。

その数時間以内にはイスラエルの軍用機がガザの軍事目標に対する空爆を開始し、軍当局は人口密集地なので民間人の犠牲者が出ることは否定できないとくぎを刺した。

これ以後戦闘は激しさを増し、パレスチナ武装組織側はテルアビブにロケット弾を打ち込む一方、イスラエルは数百回にわたってガザを空爆している。

イスラエル国内でもアラブ系とユダヤ系が雑居する都市では、ガザへの空爆や東エルサレムのパレスチナ人立ち退きを支持する判決に憤ったアラブ系住民の暴力行為が発生した。イスラエル国民の21%を占めるのがアラブ系だ。

◎ハマスの狙いとイスラエルの政局流動化

今回のガザにおける戦闘規模は2014年以降で最も大きく、国際社会には収拾不能になるのではないかとの懸念が広がった。

ただハマスは、こうした戦闘激化の状況を利用してパレスチナ自治政府のアッバス議長を窮地に追い込み、パレスチナ人にとってハマスこそエルサレムの守り手だと印象づけようとしているもようだ。

あるイスラエルの司令官が2月に明らかにしたところでは、ハマスは2014年以降にロケット弾約7000発、対戦車ミサイル300発、対空ミサイル100発を集積、PIJもロケット弾6000発を装備しているという。

何人かのイスラエルの評論家は、同国の政局が流動化しているのをハマスが行動の好機とみなした可能性もあると指摘する。イスラエルでは大統領が野党指導者に組閣を指示しており、ネタニヤフ首相が退陣する可能性が出てきている。ネタニヤフ氏が自身の汚職疑惑を巡る裁判に気を取られた影響で、エルサレムで緊張が高まり、それがガザに波及したとの見方も聞かれる。

◎対立の中心にあるエルサレム

エルサレムは政治、歴史、宗教全ての面で、イスラエルとパレスチナの幅広い対立の中心に位置する。

旧市街の真ん中にある「神殿の丘」は、世界中のユダヤ人にとってユダヤ教の最も神聖とされる一方イスラム教徒にとっても大切な場所だ。そこには古代のユダヤ神殿が置かれていたほか、「岩のドーム」とアルアクサ・モスクというイスラム教の2つの聖地が存在するからだ。

キリスト教徒にとってもエルサレムは、キリストが説教し、処刑された後に復活したとされる場所と信じられているだけに神聖視されている。

イスラエルはエルサレムを永遠かつ不可分の首都とみなし、パレスチナ人は東エルサレムを将来樹立する正式国家の首都にしたい考え。イスラエルによる東エルサレム併合は、国際的には承認されていない。

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