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コラム

コラム:伊藤忠のファミマ全株取得、少数株主に不利な構図

[香港 17日 ロイター BREAKINGVIEWS] - そのコンビニエンスストア・チェーンの買収は、収支が合っていないように見える。伊藤忠商事8001.Tは、50.1%株式を保有するコンビニ子会社のファミリーマート8028.Tへの株式公開買い付け(TOB)を通じて、残りの全株を54億ドル(約5808億円)で取得する意向だ。提示価格のプレミアムはわずかだ。企業統治上の懸念も投資家を躊躇(ちゅうちょ)させるはずだ。

 8月17日、そのコンビニエンスストア・チェーンの買収は、収支が合っていないように見える。伊藤忠商事は、50.1%株式を保有するコンビニ子会社のファミリーマートへの株式公開買い付け(TOB)を通じて、残りの全株を54億ドル(約5808億円)で取得する意向だ。2010年11月25日、都内で撮影(2020年 ロイター/Yuriko Nakao)

伊藤忠はファミリーマートを上場廃止にする意向。業界の厳しい競争を理由に挙げている。7月8日のファミマ株終値に31%上乗せした1株2300円を提示しているが、これは3月時点のファミマ株の水準に過ぎない。提示価格は特別委員会の財務アドバイザーの評価額をも下回る。適正とされた評価額はシナジー効果を除くベースで2472―3040円だった。伊藤忠が2018年にファミマ株を購入した際の支払額をも下回る提示だ。

修正が重ねられたTOB書類も危険信号を発している。経済産業省は昨年、企業の合併・買収(M&A)の指針を改定し、特別委員会によるM&A手続きの公正さの評価と、買収側が少数株主の過半の支持を得ることを求めた。残念ながら、今回は特別委員会も被買収側の取締役会も、こうした指針を提言としか受け止めていない。

例えば、ファミマの特別委員会は伊藤忠に対し、少数株主の保有株の過半数、この場合は約75%相当の購入を要望した。しかし、伊藤忠はTOBの最低判定ラインを9.9%に設定し、全体の取得目標を60%相当とすることを望んだ。

結局、ファミマ取締役会はTOB案を承認した。ただ、価格が低いため、TOBに応じるよう少数株主に積極的に推奨するのは控えた。

ファミマの業績がおぼつかなくなっている時期に、伊藤忠の手助けがあればファミマはローソン2651.Tやセブン&アイ・ホールディングス3382.T傘下のセブン―イレブン・ジャパンといったライバルをかわすことができるかもしれない。しかし、それは上場廃止しなくてもできることだ。

TOBが成立しようとしまいと、ファミマの価値向上は伊藤忠の財務上の利益にも合致する。いずれにせよ、伊藤忠は変革を完遂するつもりだと言っているのだ。

ファミマ株は既にTOB価格の水準で推移している。わざと低めにしたこの価格で利益を搾り取られるいわれは、株主側にはない。

●背景となるニュース

*伊藤忠商事は7月8日、子会社のファミリーマートにTOBを実施し完全子会社化すると発表した。現在はファミマの50.1%株式を保有する。買い付け価格は1株2300円で、ファミマ株の同日終値に31%上乗せした水準。TOBが成功すればファミマを上場廃止にする計画だ。買い付け期間は7月9日から8月24日まで。

*ファミリーマートは同日の取締役会で提案を支持することを決議したが、TOBに応じるかどうかは株主に委ねるとも表明した。

(筆者は「Reuters Breakingviews」のコラムニストです。本コラムは筆者の個人的見解に基づいて書かれています)

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