September 30, 2014 / 8:13 AM / 5 years ago

焦点:生産悪化で日銀物価シナリオに逆風、頼みは円安効果

[東京 30日 ロイター] - 8月鉱工業生産が市場予想を大幅に下回って悪化し、2%の物価目標達成を掲げる日銀に逆風となりつつある。生産減少によって製造業の稼働率低下に歯止めがかからなくなれば、設備や人手の不足などで需給ギャップ改善し、物価を押し上げていくという日銀シナリオに陰りが出てくる。

 9月30日、8月鉱工業生産が市場予想を大幅に下回って悪化し、2%の物価目標達成を掲げる日銀に逆風となりつつある。日銀本店で4日撮影(2014年 ロイター/Toru Hanai)

ただ、急激な円安進行で、物価が押し上げられる効果もこの先で顕在化するとみられ、円安が景気や物価に及ぼす影響力が大きな焦点になりそうだ。

8月鉱工業生産は前月比1.5%減と、事前予測の0.2%上昇を大きく下回った。裾野の広い自動車をはじめ全15業種中10業種で減産となった。

同時に公表された予測指数から試算すると、7─9月の生産は4─6月期と比べて0.7%のマイナスとなる見通し。

日銀は9月5日に公表した金融経済月報で「7─9月の生産は概ね横ばい」とみていた。特にはん用・生産用・業務用機械は「内外の設備投資が改善を続けるもとで、増加基調を維持する」としていたが、8月は前月比7.4%と大きく落ちむなど、減産の広がりは、日銀にとってネガティブサプライズになったと思われる。

生産の下振れで7─9月期の国内総生産(GDP)成長率は、前期比年率2─3%台の小幅な改善にとどまる可能性が出てきた。2014年度の実質GDP成長率は、日銀が見込む1.0%を大幅に下回るのは確実だ。

黒田東彦総裁は、日銀の政策目標について「あくまで物価」(8月8日定例会見)と繰り返しており、成長率が下振れても、物価が想定通りであれば現状の政策を続ける姿勢を強く示している。

しかし、生産の下振れが今後も続けば、設備の稼働率が低下、ひいては改善が続く雇用にも影響し、需給ギャップの改善に水を差す可能性がある。日銀内でも、来年度以降の物価上昇圧力を弱める要因になりうるとの見方が一部で出てきた。

足元の雇用情勢は、8月の有効求人倍率が1.10倍と3カ月連続で同水準に足踏み。先行指標である新規求人倍率は1.62倍と2カ月連続で低下するなど雇用の改善基調に一服感がみられる。

日銀では今年1─3月期にプラス0.6%と6年ぶりの水準に改善した需給ギャップについて、4─6月に消費税率引き上げの影響で悪化した後は再び改善傾向に入り、物価上昇をけん引するとみている。

しかし、弱い生産が示しているように、すでに7─9月の需給ギャップの改善も想定より緩やかになっている可能性は否定できない。

こうした中で、支援材料になり得るのが9月以降の急激なドル高/円安の進行だ。日銀では、円安進行が輸入物価の上昇要因になるだけでなく、企業収益の改善を通じて国内投資や雇用・賃金に波及し、需給ギャップを改善させると見込む。

消費税率引き上げ後の景気の立ち上がりが、日銀の想定よりも後ずれしている感は否めない。

ここで、最近の円安進行が新たな支援材料となり、反動減収束後の景気・物価の押し上げ要因として効いてくるのか、日銀シナリオは正念場を迎えつつある。

竹本能文、伊藤純夫 編集:田巻一彦

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