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焦点:米FRB、足元の株安でも資産買い入れ拡大しない公算

[ニューヨーク 11日 ロイター] - 米国株式市場が足元で変調をきたしていることから、米連邦準備理事会(FRB)が資産買い入れ拡大に動くのではないかとの期待が浮上してきた。ただ市場参加者やストラテジスト、米財務省のアドバイザーなどに取材したところでは、この程度の株安では緩和強化を正当化できないとの声が相次いでいる。

9月11日、米国株式市場が足元で変調をきたしていることから、米連邦準備理事会(FRB)が資産買い入れ拡大に動くのではないかとの期待が浮上してきた。写真は3月、ワシントンのFRB本部前で撮影(2020年 ロイター/Leah Millis)

むしろ15-16日の連邦公開市場委員会(FOMC)では、FRBが買い入れ対象債券の平均償還年限(デュレーション)を延ばすことで長期金利抑制を続ける公算が大きい、というのが一部ストラテジストの見方だ。

危機が起きた際には資産購入を増やして景気刺激に動くことができるFRBは、新型コロナウイルスのパンデミック以降、バランスシートを4兆ドルから7兆ドルまで拡大してきた。

一方で米国株は、S&P総合500種.SPXが7月初めから今月2日に付けた終値ベースの最高値までの上昇率が15%に達した。ナスダック総合.IXICもこの間21%上がったが、続いて発生した猛烈なハイテク株の売りを受けて急落に転じ、8日に直近高値からの下落率が10%以上で定義される「調整局面」に入った。

しかし、バークレイズのマクロ調査責任者アジェイ・ラジャドヒャクシャ氏は、株式市場で新たに突然かつ劇的な値下がりが生じない限り、FRBは資産買い入れ拡大の検討さえしないだろうとみている。

米財務省に債務管理や経済に関して助言する委員会のメンバーである同氏は「FRBは現時点の株価水準に何の問題も抱えていない。株価が少なくともあと10%、それも急速に下がってやっと、FRBが関心を向け始める段階に至る」と説明した。

TDセキュリティーズの米金利ストラテジスト、ジェナディ・ゴールドバーグ氏も、FRBにとって株安は懸念要素にならないと指摘。「大幅な値上がり後に多少下落しても政策対応にはつながらない。彼らが目を向けているのは不安定の兆しだ」と述べた。

それでも一部投資家は、FRBの資産買い入れ拡大が市場を支える展開に期待している。

スカイブリッジのトロイ・ガヤスキ共同最高投資責任者は、FRBの資産規模が12週間にわたって変わらないことが、投資家の警戒を生む原因の1つになっていると強調する。

同氏は「新たなバランスシート拡大とマネーサプライの伸び再加速がない限り、市場は上下双方向にもっと振れが大きくなる」と警告した。

金融市場は、新型コロナウイルスを巡る懸念から株価が急落し、債券市場が機能不全に陥って慢性的な流動性不足に見舞われていた3月から立ち直ってきており、それに伴ってFRBの債券購入ペースは鈍化している。

例えば米国債・住宅ローン担保債(MBS)の過去1カ月間の購入額は約1900億ドルだったが、3月の市場が最も混乱した局面では1日に最大で1250億ドル相当を買っていた。社債についても、買い入れを開始した5月の1日当たり購入額はおよそ3億ドルだったが、スプレッドが縮小するとともに直近では2600万ドルまで縮小した。

このようにペースを落としながらも債券買い入れを続けていても、FRBの資産規模が5月から7兆ドル前後で横ばいとなっているのは、一方で、一時は資金調達環境改善のために積極化していたレポオペの規模が減っていることが影響している。

FRBは、毎月米国債・MBSを最低でも1200億ドル買い入れ、市場の流動性を維持するために必要な措置は何でも行うと約束している。

(Matt Scuffham記者)

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