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コラム

コラム:FRB、使命達成で重視する労働市場の「最も弱い環」

[ワシントン 4日 ロイター Breakingviews] - 米国の労働市場は、強弱両方のシグナルを点滅させている。ダラス地区連銀は、労働市場が引き締まっていることを示すデータを取り上げた一方、サンフランシスコ地区連銀はその反対の証拠を提示したが、実はどちらも正しい。5月の失業率は5.8%に下がったものの、女性や非白人の雇用環境を巡る見通しはより厳しい。米連邦準備理事会(FRB)にとっては、この労働市場全体で「最も弱い環」に焦点を当てることだけが、最大雇用という目標を達成できる唯一の方法だ。

 6月4日、米国の労働市場は、強弱両方のシグナルを点滅させている。ワシントンのFRB本部で2019年3月撮影(2021年 ロイター/Leah Millis)

FRBが労働市場をどうみているかは、データの切り取り具合で解釈が違ってくる。ダラス地区連銀は先月公表した論文で地域内の事業主が人手確保に苦労している点に着目。元従業員の職場復帰を見込む事業主は全体の約52%と、昨年7月の68%から低下したと指摘した。求人1件当たりに応募する失業者は1.2人で、2017年春とほぼ同じ水準だった。

確かに、少なくとも大卒者の獲得競争は激しい。5月の大卒者の労働参加率は72.5%と、新型コロナウイルスのパンデミック前の昨年2月をわずかに下回る程度。彼らの失業率は直近ピークだった昨年4月の8.4%から3.2%まで下がっている。

一方サンフランシスコ地区連銀はより悲観的で、それは別のデータを反映したものだ。1日に公表した論文で、女性や黒人、中南米系の失業状況は労働市場環境の悪化を物語っていると分析した。例えばパンデミック前に約58%だった女性の労働参加率は足元が56.2%で、恐らく子育て支援が欠如しているために、まだ何百万人もが労働市場から退出したままになっている。長期失業者数も380万人と、ヘッドラインの統計で想定されるよりも高水準だ。

FRBのパウエル議長が裾野の広い景気回復を推し進めている意図は、労働市場で問題を抱えている部分により重点的に政策効果を浸透させることにある。パウエル氏はこれまで、FRBが利上げや資産買い入れの巻き戻しを開始するかどうかは、社会の幅広い層における完全雇用実現が1つの条件になると表明してきた。同氏は、女性とマイノリティーにとって雇用関連指標は今なお期待外れの内容だとも強調している。

女性は労働力人口のほぼ半分を占め、黒人と中南米系はおよそ3割に上る。求人件数が過去最高の810万人に達し、一部の事業主が人手確保に苦しんでいる以上、女性やマイノリティーの雇用環境改善に狙いを定めれば、労働需給のミスマッチ緩和に役立つだろう。そしてそれによってFRBは使命達成への道筋をしっかりと定めることができる。

●背景となるニュース

*米労働省が4日発表した5月の非農業部門雇用者数は前月比55万9000人増と、ロイターがまとめたエコノミスト予想の65万人増を下回った。失業率は4月の6.1%から5.8%に低下した。

*サンフランシスコ地区連銀は1日公表した論文で、労働市場はヘッドラインの統計が示すよりも状況が悪いと指摘。その理由として労働参加率の低下や、長期失業者数の多さを挙げた。

*一方ダラス地区連銀が5月27日に公表した調査では、労働需給がヘッドラインの統計が示す以上に引き締まっていると分析されている。地区内の多くの事業主は、職場復帰に消極的な元従業員が多数存在することなどから、人手確保に四苦八苦しているという。

(筆者は「Reuters Breakingviews」のコラムニストです。本コラムは筆者の個人的見解に基づいて書かれています)

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