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コラム

コラム:FRBが歓迎する強い労働市場、行き過ぎれば頭痛の種

[ワシントン 1日 ロイター BREAKINGVIEWS] - 米連邦準備理事会(FRB)にとって、堅調な労働市場は大歓迎だが、度を越してしまうと途端に頭痛の種になりかねない。3月の失業率は3.6%と、新型コロナウイルスのパンデミック前に近い水準まで低下した。一方飲食店には客が戻り、旅行業界さえ正常化しつつある。これらの要素は全て、FRBにインフレを抑えるための利上げに動ける余地を与えてくれる。だが力強い雇用が続いていけば、物価圧力に拍車が掛かるかもしれない。

  4月1日、米連邦準備理事会(FRB)にとって、堅調な労働市場は大歓迎だが、度を越してしまうと途端に頭痛の種になりかねない。写真は米カリフォルニア州オーシャンサイドの飲食店の求人広告。2021年5月撮影(2022年 ロイター/Mike Blake)

米国は完全雇用が目前になりつつある。パンデミック直前の2020年2月に失業率が3.5%となった時点で、FRBはまさにそうした状況になったと考えていた。労働省が1日発表した今年3月の非農業部門雇用は前月比43万1000人増加し、過去2カ月分が上方改定されたため、第1・四半期の月間平均増加幅は56万2000人となった。

他の経済活動も元に戻ってきた。飲食店予約サイト、オープンテーブルによると、米飲食店の客足は2019年とほぼ変わらなくなっている。3月最終週の米運輸保管局(TSA)の検査場通過者は、19年の同期間の9割に達した。

ロシアのウクライナ侵攻に伴う世界的な混乱が起きている中でさえも、米経済はパンデミック前の正常さを回復し、それがFRBの仕事をより単純にしている。パウエル議長は最近タカ派姿勢をさらに進めて、物価動向の面から妥当と判断した場合、将来の連邦公開市場委員会(FOMC)で50ベーシスポイント(bp)の利上げが可能なほど、労働市場は頑健だと強調した。FRBは3月、25bp幅で利上げを開始している。

もっとも採用パターンからは、労働市場にまだ不均衡が存在することが読み取れる。2月の求人件数は1130万人と引き続き過去最高水準近辺だった半面、平均採用件数は求人件数の6割と、20年2月の8割を下回った。自発的離職者数は440万人と依然多く、小売りや宿泊、飲食といった分野の離職者が最大となる情勢が続いている。

こうした貴重な人手の奪い合いが、物価圧力を高めてもおかしくない。3月の平均時給は前年比5.6%増と、パンデミック前の3%台よりずっと伸びが高い。労働市場はパンデミックが生み出した痛みを経験しただけに、完全雇用実現はFRBにとって喜ばしい。そしてある程度までなら、低所得層を中心とした賃金上昇も望むところだ。しかし賃上げも行き過ぎれば、既にインフレと格闘している経済をさらに過熱化させる恐れがある。

●背景となるニュース

*米労働省が1日発表した3月の非農業部門雇用は前月比43万1000人増だった。エコノミスト予想は49万人増。失業率は3.6%に低下した。

*非農業部門雇用は1月と2月合計で9万5000人上方改定され、第1・四半期の月間平均増加幅は56万2000人となった。

(筆者は「Reuters Breakingviews」のコラムニストです。本コラムは筆者の個人的見解に基づいて書かれています)

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